驚異の色合い、雄大な光景……風景画の達人「吉田博」の作品を並べてみる。年代順です~。
吉田博
吉田 博(よしだ ひろし、1876年(明治9年)9月19日 – 1950年(昭和25年)4月5日)は、日本の洋画家であり版画家。明治・大正・昭和にかけて風景画家の第一人者として活躍。
若いころから実力があり、油彩画・水彩画を描いていました。
23歳のころに渡米し、デトロイト美術館で「日本画家水彩画展」を開催して好評を得ます。
その後、ヨーロッパに渡りイギリス・フランス・ドイツ・イタリアなどを巡歴。洋画でも水の表現は圧倒的ですね。版画を始めた後にも油彩画・水彩画の作品はあります。
この時代の人には珍しく、世界中を渡り歩き風景を描いたことで有名。紹介した作品を見てもらえれば分かりますが、版画家になった後も世界中の風景を描いています。作品だけでなく人生そのものが面白い人ですね~。
こういった活動もあって、日本より海外の方で評価が高い画家と言えるでしょう。戦後の時期にも駐留アメリカ軍の高官からも支持を得ます。
今でも日本だとマイナーでは。この人の風景画、めっちゃ美しいのに……もったない話。私は特に、この人の雲が好きですね!
1920年(44才)に木版画の制作を開始。ジャンルとしては、いわゆる「新版画」というものになります。新版画とは、明治30年前後から昭和時代に描かれた木版画のこと。版画の近代化を目指した活動。
この人の作品は「輪郭線を明確にする日本画の伝統・版画のすっきりとした色彩」に西洋の「遠近法・物の立体感」が融合した結果だと言えるのでは! 油絵で同じ風景を描いても、こうはなりません。輪郭線がはっきりしているので非常に見やすい!
さらに、版画とは思えない繊細な色合いが超すごい! すごすぎる! 版画ってのは1枚1枚直接紙に書くのではなく、先に「版木」を作ってそれを利用して量産するもの。
なんですが……この人の版画は超絶技巧で驚異的な細かさなので、版木があっても量産は不可能でしょう(笑) ある意味で版画の限界を超えてしまったとも言えるかも?
同じく新版画の名手