静物画でありながらも宗教的なメッセージ、独特の雰囲気。ヴァニタス画の作品を大きめサイズで並べてみます。
ヴァニタス
ヴァニタス(vanitas)とは静物画のジャンル。16世紀から17世紀のバラック期にフランドルやネーデルラントなどヨーロッパ北部で特に多く描かれました。
「ヴァニタス」とはラテン語で「空虚」「むなしさ」を意味する言葉。死を避けられない人生のむなしさ、地上での快楽や栄光・財産も死んだ後には消えてしまう空虚なものであるというメッセージが含まれています。
描かれている物にもメッセージや意味があり
頭蓋骨:死
時計:確実に近づいてくる人生の終わり
ろうそく、煙、シャボン玉:はかないもの、消えゆくもの
宝飾品:財産
コイン、バック:金銭的なつながり
本:地上での知識(も、死後には役立たない)
楽器:瞬間的な快楽、女
武器、防具:武装しても死からは逃れられない
地球儀:地上世界
花、果実:生命
倒れている物、落ちている物:死、終わり
などなどを意味します。静物画と宗教画の中間的なジャンルと言えるでしょう。
まぁ、そういった人生観や宗教的な部分を無視しても、なかなかにかっこいい絵画ですよね(笑)
なんといっても頭蓋骨が目立つ絵が多く、他のジャンルとは大きく違った存在感が。インパクトありますよ。
またテーブルの上に様々な物が置かれ、何とも謎めいた不思議な空間ができあがっています。絵画にリアルな状況設定を考えても意味がないけれど、これらの物品はどんな人の持ち物なのか? 考えてみると想像力が刺激されますね。