最近は異世界系にも色んなパターンが登場? ファンタジーを通じて、読者に技術を見せる!
というわけで、今回は「異世界転移テンプレ、特に知識チートの可能性と利用法」を考えてみたいと思います
始めにざっくり図を出していくと、この記事で書きたいのは↓の専門知識チートの部分。
まぁ、この図もイメージであって実際にはそれぞれの領域が混ざったりしますが、何となく私の言いたいことは伝わると思いますので。
最近、専門知識系の作品が増加?
異世界テンプレ・なろうの系の作品が人気になって、はや5年ぐらいは経っているでしょう。その間に「テンプレの中での多様化」が進行してきました。一口に「異世界転生・転移」と言っても実は色々なパターンがある。
その中で私が注目しているタイプの作品をいくつか挙げますと
あのドラゴン、差押えます~県税職員のおっさんが異世界で税金取立~
これらの作品の共通点は
①転移するのが社会人の大人(学生ではない)
②元々の社会で、特殊な知識・技術を使う仕事をしていた
③それらの現代知識&技術でファンタジー世界で活躍
などの点でしょう。それぞれを見ていきます
・現代知識&技術でファンタジー世界で活躍
ここは深く考える必要がありませんね。これこそがみんな大好き異世界転移テンプレ。
・転移するのが社会人の大人(学生ではない)
今となってはここも珍しい部分では無いと思います。「無職転生 - 異世界行ったら本気だす 」「Knight’s & Magic」「 詰みかけ転生領主の改革」などなどランキング最上位にも大人が転生する話が普通にありますし。
これは読者層・作者層の両方が広がったからでしょうね。若い作者・若い読者が「若い主人公(基本学生)」に感情移入していたのが、中年の作者・読者が増えてきて「中年の主人公」も増えたと。
・元々の社会で、特殊な知識&技術を使う仕事をしていた
はい、この部分が私の注目するポイント。転移する前に特殊な職業に就いていて、専門知識&技術を持っていたというパターンの作品が増えてきている気がするんですよ。ここが無職転生などとは違うところ。
もちろん「知識チート」と呼ばれる方向性は古くからあります。しかし、これらは現代日本社会でいうと「常識・学校教育レベル」な作品が多かった。
教育を重視する、排泄物から火薬を作る、火薬から銃を発明する、農業の生産性を上げる、熱による膨張と冷却による収縮を組み合わせる……などなど
これらはファンタジー異世界ではとてつもない知識かも知れませんが、現代日本では専門知識というほどじゃない。ネットで調べれば、すぐに書けてしまう内容。
これに対して異世界落語などは、明らかに作者さま自身に専門知識・実体験がある。ネットで調べただけで書けるような厚みではない。
そして転移する主人公も、特殊な仕事をしている。異世界落語の主人公「楽々亭一福」は地球でも落語家でした。
私はこういう作品を「お仕事・専門知識系チート」と名付けたいと思います。
異世界テンプレを使った作品が量産されるなかで「戦闘チートのバトル系作品は見飽きたし、薄っぺらい知識チートじゃも物足りない」このような作者・読者も増えてきたのでしょう。そこでより専門的な知識を活かした異世界物が出てきた。
テンプレを使って読者に専門知識を見せる
異世界テンプレにおいては「主人公=読者」だとよく言われます。一般人だった主人公が異世界に召喚されて大活躍! その流れに一般人である読者が感情移入していると。
しかし、お仕事・専門知識系チートの作品では違います。主人公は専門知識を持っている特殊な存在であり、読者の分身ではない。
むしろ読者はファンタジー世界の住人と一緒に「〇〇ってなんだ?」「△△ってすごい!」と、主人公(というか作者)の専門知識に驚く。
異世界って専門知識の説明がしやすいんですよね。まったく知識のないファンタジー世界の住人への説明を、まったく知識のない読者への説明に重ねることができる。比較的自然な流れで解説が可能。
また、異世界テンプレは若い人の間では人気があり読まれやすいジャンル。なじみのない専門分野でも異世界テンプレと組み合わせることでより多くの人に伝えられるのでは? これがお仕事・専門知識系チートの可能性だと思います。
私も不勉強で落語をテーマにした作品というのは異世界落語で初めて読みました。いきなり「落語をテーマにした小説を読みたい!」という人は少ないかもしれませんが、「何か珍しくて面白そうな異世界物はないかな~?」と探している人はいるはず。
↓のタイトルは私が即興で考えた空想のお仕事・専門知識系チート系の作品タイトルです
異世界をスポーツ文化で平和にしたい
飛行機と風魔法 ~異世界に航空産業を~
花火師、異世界を彩る
異世界環境保護 森林を守れば海が豊かに!
異世界で車輪と道を作って移動革命!
どうでしょう、ちょっと読んでみたくなりません? 私は読んでみたい(笑) タイトルだけで話の方向性が分かるのも異世界テンプレの便利なところ。
まぁ、読者が求めているのは解説書ではなく「小説・物語」なわけでそこは上手く描かないと行けませんが。しかし、人々の生活を向上させて国王に認められるとか、場合によって専門知識を使って戦争を優位に進めるとか、そんな感じで十分でしょう。
もちろん異世界テンプレじゃない普通のラノベでも「りゅうおうのおしごと!」などのお仕事・業界ものってあるんですが、こちらの場合はテンプレもないし書く難易度は高そう。
基本的に現代日本社会がそのまま舞台になるから、ちょっと専門知識を使っただけじゃ大きな変化は起こせないので……ちゃんとした人間ドラマ・社会ドラマを練らないと行けません。
新人賞などを狙うならともかく、web小説で行くなら異世界テンプレを利用したお仕事・専門知識系チートの方が派手で読まれやすい気もしますし。
まとめ
・作者さま自身に専門知識&実体験があり、転移する主人公も地球で特殊な仕事をしていた。こういうパターンを「お仕事・専門知識系チート」と名付けたい。
・読者はファンタジー世界の住人と一緒に「〇〇ってなんだ?」「△△ってすごい!」と、主人公(というか作者)の専門知識に驚く。
・なじみのない専門分野でも異世界テンプレと組み合わせることでより多くの若い人に伝えられるのでは? 異世界テンプレの新たなる利用法と可能性。
いかがだったでしょうか。専門知識がある人は異世界物を書いてみるもの良いんじゃないかと。書きやすい分野と書きにくい分野、ファンタジー世界に合う分野と合わない分野はあるでしょうけど……
私も「異世界ブロガー」とか思いつきましたが、これはさすがに形になりそうになりませねぇ(笑) パソコンがない世界ではちょっと話にできないような。
私のおすすめweb小説!