カクヨム、おすすめ完結作品ベスト14! (2018年7月版)

なんだか「小説家になろう」と比べて低く見られがち? でも、探してみれば面白い作品はたくさん! 完結してるから安心して読める!

カクヨムだけでも200作以上を読んできたweb小説大好き人間である私「イマ猫」が、自信をもって超おすすめできる作品のみを選びました!

タイトルをクリックで本編に移動できます。

異世界ファンタジー

異世界取材記 ~ライトノベルができるまで~

異世界取材記 ~ライトノベルができるまで~(田口 仙年堂) - カクヨム
富士見ファンタジア文庫より発売中!

219,061文字

主人公はライトノベル作家! 取材のためなら異世界を冒険し、ログアウト不可のVRMMOにも飛び込んでいく。

「テンプレweb小説」ライトノベル、とでも言うべき? 小説家になろうで発展したテンプレを新しい視点からネタにしている。すばらしい発想でめちゃ面白いです。

作者さまは新人賞からデビューし、単行本も多く出している本業のライトノベル作家。だからこそ、主人公の言動に強いリアリティが感じられる。

web連載でたまたま1発ホームランを打っただけの一般人ではなく、売れる人気作を目指してプロットを考え続ける「作家」だからこそ書ける雰囲気。

web小説を読みなれて「なろうテンプレ」を理解してないとちょっと楽しめないかもしれないけど……逆に、異世界転生ものが好きな人にはすごくオススメ。

 ファンタジー系の異世界は面倒な手続きが多いと聞く。

 一昨年もドラゴンに喰われた先輩作家の葬式に顔を出した。あの時は先輩の遺品をめぐって銃撃戦が起きたっけ。別の先輩が言うには、ファンタジー異世界での作家の死亡率と失踪率は特に高いらしい。

 続きを待ち望んでいるラノベの続編がいつまでも出なかったり、面白かったラノベが突如打ち切られる原因の半分は、それだ。


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アイオライトの心臓

250,379文字

忌まわしい呪いの印とともに少年「ロクド」は生まれた。村から旅立つことを強制された少年の出会いと成長。そして、世界の過去の秘密。

なかなかに本格的で良質なファンタジー。魔術に関わる1つ1つの物や動作の描写が細かく、脳内にイメージが浮かびます。無駄のない進行で長すぎず読みやすい。死人も出て重い展開だが、だからこその迫力と読後感。

本編のあとの日常パートがグッと来ますねぇ。この順番だからこその重みと良さがある。

 産婆を恐れさせたのは、どす黒い痣だった。

 ちょうど左の指先から手首までを、深い深い暗闇の沼に浸したような、異常な痣。変色した部分の皮膚はがさがさと硬化して鱗のようにひび割れ、赤子に似つかわしくない禍々しさを放っていた。

現代ファンタジー

おにぎりスタッバー

141,527文字

男を食ってると噂の女子高生と魔法少女。変な奴らが戦ったり普通に生活したり。色々と明らかになりまくる意外な事実。

軽妙で女子高生っぽい語り口がとても面白い。やや読みにくく人を選ぶかもしれませんが、すばらしき個性。

「なんか援助交際だか売春だかそういうようなことをやっているらしい」という噂があるというただ一点のみにおいてキャラ立ちしちゃっているわたしが唯一ツルんでいるのがよりにもよって魔法少女なものだからますますアンタッチャブル感だけがましましでこれ以上友達ができる見込みは薄い。


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伝奇

帝都つくもがたり

100,691文字

昭和初期の東京。酒浸りで怖がりの小説家「大久保」とネタに貪欲な記者「関」の2人は怪談を集めるため、あちこちを奔走する。真夜中の恐怖ではない、夕暮れ時の怪奇連作短編。

レトロを意識した文体がとても軽妙で完成度が高い。恐さは控えめで、苦手な人でも読めるでしょう。メイン2人は癖がありながらも人間味があり、なんとも親近感がわく。

結局、負けた。関は僕の静かな家にずかずかと歩み入る。いつものことではあるが実に業腹だ。

 僕は所謂いわゆる三文文士である。彼の言う通り、親の遺産が少しばかりなければぐに食いはぐれる程度の人間だ。

 そんな僕は、鳴き出した蝉の声を背に、忌々しく虚空を睨むとぴしゃりと戸を閉じた。

コンビニで夜勤バイトを始めまして。

316,777文字

時給に釣られ25歳フリーター「袴田」が働き始めたのは、自殺の名所のど真ん中に建つ、いわく付きのコンビニだった。実際に次々と怨霊たちが現れ……

本格ホラー。筆力が高く、かなり迫力がある。また、単なる恐怖体験だけでなく自殺・後悔などを軸とした人間ドラマもずっしり重くて引き込まれる。謎の怪異現象というより、死者と生者の物語。

不思議なことに、誰も入ってきていないはずなのに、その時微かに気配を感じた。

店内に俺以外の何かが存在していて、俺以外の何かが動いて、それが丁度。

俺の目の前にでも佇んでいるような。

凄く近くにいるような。そんな、気配が――。

SF系

汎銀河企業体 メロンスター.Inc

113,051文字

宇宙系社畜物語。ブラックを超えた「ダークマター企業」で働く主人公のつらい日常。怒涛の勢いで飛び出してくるブラックジョークがたまらないSFコメディ。

SFであり、ストーリー的にもいわゆる「ラノベ」ではありません。これ系のジャンルに慣れてない人にはもしかすると読みにくいかもしれませんが……食わず嫌いをせずにぜひ試し読みして欲しい作品。

メロンスター社は、銀河全体に営業拠点をもつ大企業である。従業員数は三百億人を超え、時間旅行ツアーからアサガオの栽培、哲学者の派遣業から夏休みの宿題代行まで多岐に渡る事業を行っている。会社案内の事業内容ページがあまりに厚いため、撲殺事件の凶器として使われることが頻発したので、最新の会社案内では事業内容を「かなりたくさん」の一行ですますようになった。

 

星を見上げて ~双子惑星の渚~

129,453文字

宇宙のどこかにある、双子の惑星。望遠鏡を使えば相手の星の生活が見えるぐらいの近距離。それぞれ似たような生物が生息し、似たような人類が似たような文明を発展させているようだった。

ある日、望遠鏡で眺めていた少年スレツは、同じく望遠鏡でこちらを眺めている少女と目が合う。〝あの子と会って話してみたい〟 しかし、まだ空を飛べない時代……少年は果たして夢を叶えることができるのか? 発明家たちの挑戦の結果は?

頭上を通り過ぎていく巨大な星、望遠鏡を使えば相手が見える……ものすごくロマンチックな世界観! 想像するとたまらない! ストーリーも発明の面白さ、好奇心、前向きな気持ちなどが強く書かれていて心動かされます。

空の先に見えるのは、スレツたちが暮す〈惑星エフ〉の双子星、《惑星ジー》だ。

 恒星の青い核融合反応は惑星にそのまま青色の夕焼けを届けており、その空のおよそ半分を占めるまでに接近し巨大化した《惑星ジー》は、その大陸や海の姿を薄っすらと浮かび上がらせている。それはまるで逆さまの世界のようだった。

 

銀河縦断ふたりぼっち

222,319文字

記憶を失い人間に擬態していた宇宙種族の侵略兵器。そして、彼女と一緒に仲良く活動していた人間の少女「遥」。ある日、地球は破壊され2人は逃げ延びる。人類最後の生き残りとなった遥が目指すは、銀河中心に座する超巨大ブラックホール。その特異点を潜り、滅びの歴史を改変するために。2人のはるかなる戦いと旅が始まる。

あっさりと地球は破壊され、巨大ロボが亜光速で格闘したと思えば、もふもふの宇宙人と遭遇し、人工太陽と宇宙樹にめぐり合い、金属生命体の防御網を突破する。これぞSF!な大スケールかつ美しいシーンがたくさん。

各種の設定も非常にそれっぽく、作者さまの確かな知識とこだわりを感じて好印象。ある意味では自己同一性が崩壊しまくってるストーリー展開も実にSFですばらしい。

まず、地面がない。その代わりをしているのは機械生命体マシンヘッドでもサッカーが出来そうなくらいに巨大な木の幹であり、四方で交差しているのも同様の巨木である。ここは複雑に絡み合った巨木。それも惑星サイズのそれからなる、途方もなく巨大な生態系なのだ。

まさしく驚異としかいいようがない。

そして、この天体の植物の枝葉はすべてが内を向いている。陽光が惑星の外ではなく、中心から来るからだった。

 

ルナティック・ハイ

219,526文字

アポロ計画によって発見された超古代遺跡の探査基地が、月面帝国を名乗り地球に対して宣戦布告。そこから20年後、ようやく結ばれようとしていた終戦協定は、過激派月人グループによるテロリズムによって打ち砕かれた。降下してくる超古代発掘兵器、迎え撃つは地球の量産型ロボ。

良質ロボットアニメな世界観。地球の自転をエネルギーにするという設定ゆえに、戦いは地上戦。熱い戦闘シーン、甘酸っぱいヒロインとの関係、絡み合う各組織の思惑……それぞれの要素が上手くまとまっている。

そのまま左手に装備した打突シールドを振り抜き敵機を突き飛ばす。慣性制御装置(イナーシャルドライブ)で姿勢が崩れるのを防ごうとするが、それを完全手動(マニュアル)モードでドラム缶と同サイズの左手に注ぎ込んだ余剰ベクトルで打ち消し押し倒す。

IAは地球の運動エネルギーを攻防走に転用できる。だがそれは地に足で立っている場合に限られる、姿勢を崩した敵機にダメ押しの3点バーストを叩き込む。3発の砲弾は胴体を操縦席ごと貫いて、3対の赤いセンサーアイの光が消えた。

 

現代ドラマ

彼女が好きなものはホモであって僕ではない

151,830文字

同性愛者の少年と腐女子の少女が織りなす奇妙な関係。自分の秘密を打ち明けるべきか少年は苦しみの日々を送り……軽い印象のタイトルに反し、同性愛について本格的に書いている力作。

日本社会で生きる同性愛者の思考・悩みが生々しく描かれていて非常に重いリアリティがある。私自身、まだまだ同性愛者の方々について無理解だと気づかされました。

しかし、簡単に言えば「面白い話」なわけですが、この作品が「面白い」とか「珍しい」と評価されてる時点で良い社会じゃない気がしますよね。日本で同性愛が普通に認められ受け入れられていれば、こんな物語はそもそも起きないはずだし。

またテーマ性だけでなく筆力があって純粋に小説としてもレベルが高い。話の流れ・それぞれのキャラクターの行動・会話、ぐいぐい読み進めてしまいます。BL女子を組み込んできたのも若いセンスで良い。

非常に重い。けどテーマ性・面白さの両方から1度は読んで欲しい作品。

世間体じゃない。世俗を気にしているわけじゃない。少なくとも僕は、僕と奥さんと子どもで築く平凡な家庭も、郊外の庭付き一戸建ても、孫たちに囲まれた幸せな老後も、全部欲しい。たくさんの家族に看取られて、「いい人生だった」なんて呟いて、眠るように息を引き取りたい。ただちんぽこが、ちんぽこがどうしても上手く勃ってくれない。

本当に、ただそれだけの単純な話を、ほとんどの人は分かってくれていない。

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右カウンター赤道より

109,687文字

インドネシアの首都ジャカルタで形だけのボクシングジムを経営する中年ボクサー「ロニー」のところへ、日本で売り出し中の実力者「薮田」から試合の依頼が飛び込んでくる。過去の挫折から日本を飛び出しロニーのジムに居候していた「アキラ」は勝ち目がないと言うのだが……

豊富な知識を元に描写されるボクシング周りのシーンは迫力満点。そして、つながっていく人間の縁・変化していく心境・明かされる過去など、人間ドラマとしても非常に熱く質がいい。

主人公が直接試合に出るロニーではなく、そのサポート役に周るアキラなのが話をより深く広くしていて上手い構成じゃないかと。あと、タイトルもいいですよね。

web小説では珍しい本格人間ドラマ、こういう作品もぜひ読んで欲しいのでこの順位に。

男はガウンを脱ぐと軽い跳躍を始め、グラブを交互に突き出した。何人かがその体に目を奪われ始めた。動きは意外に敏捷で、発達した足腰には脂肪がついていない。そして、その両拳にはりきみのない、静かな闘志が行き渡っていた。

 戦うためにここへ来たのだ。

 老兵の目が、そう語っていた。

 

PJ:アフリカ

130,628文字

広告代理店の新入社員である「松山」は失敗続きのプロジェクトの担当となり、クライアントから不可能に思える要求を突きつけられる。口だけの無能上司、重なるトラブル……翌日の再プレゼンを何とか形にしようと彼は東京を走り周る。辛く苦しい緊迫の24時間。

非常に文章力があり、重い空気がありありと伝わってくる。現実的すぎて読んでて辛い(笑) 崩壊していくプロジェクトと主人公の精神……引き込まれますね。そんな中で最後に主人公は何を思うのか。終わり方にも余韻があってすばらしいです。

僕に聞こえるのは、五人の客達の顔面と感情が凍りついていく音だった。上目づかいに前方の五人の顔をちらりと覗くと、全員の表情が死人のように硬直しているのが分かった。客達は藤崎さんが喋り終えるのを待って、この、欠点が多すぎてどこから指摘すればいいのか分からない広告表現に対して、最初に何を言うべきかを既に考え始めている。そして僕も、その第一声は一体なんだろうと考え始めていた。


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ジャンピング・ジャック・ガール

114,984文字

女子高生「川原鮎」は早朝の通学路でマンションから人が転落するのを目撃してしまう。転落したのは同じ高校の生徒。彼の携帯電話には『ジャンピング・ジャック』を名乗る人物からの謎めいたメールが届いていた。そして事件の謎に迫るうち、他にも4人の高校生が同じような転落死していることを突き止めるのだが……

本格青春ミステリー。やはり、この作品の本領発揮は8章の謎解きパートでは。非常に緊張感があり、肌がピリピリしてくる素晴らしい展開だと思います。

 気がつけば、男は窓枠にお腹を乗せて、青空の下にだらりと首を垂らしていた。かろうじて落ちずに済んでいるのは、室内に残っている下半身が引っかかりになっているからだろう。

しかし、あたしが推測した時にはもう、男の下半身はくるりと回転して、窓の外に飛び出していた。

 

おすすめ中編

5万字前後の中編にも良作がたくさん! 長編と比べるとあっさり終わって物足りない部分もありますが……その分だけ無駄がなくテンポが良い。

 

飢と渇

72,973文字

中卒で飢え死の恐怖がトラウマである「堂徳」、偏差値の高い大学の生徒だが親に見捨てられ承認欲求に渇いている「清倫」。怪しい仕事で儲けていた2人が出会った時、ビジネスの規模は拡大していく。そして……?

バイトである「正田」も含めて、中心の3人がとても良いキャラ立ち。詐欺まがいの仕組みでカモにされてしまう者、そして道徳に反すると分かっていても金儲けに走る者……人間心理の分析がリアル。

あとネットの世界を書いたものだからか、web小説の書き方がすごく雰囲気に合っている。この内容だと紙よりweb上で読んだ方が迫力と臨場感がありそう。

好まれやすいネタは大体決まっている。

例えば、「人生が上手くいってない層、気力を失っている層」が参加できるネタ。

具体的には、現状の制度を批判することのできるニュース、成功者の失敗、大企業の不祥事、政治家のゴシップ。

 

城壁都市案内 AfterDragon

53,283文字

もはやドラゴンたちが消え去ったAfterDragon時代。考古学者たちはBefoerDragon時代の都市国家、通称「城壁都市」の発掘と研究を続けている。ドラゴンと人が共存した街の文化・構造・歴史はどのようなものだったのか?

繊細かつ本格的に作り上げられた創作民俗。読んでいるうちに、ドラゴンが飛び回り水と多肉植物で輝く城壁都市が脳内に浮かんでいきます。そして、AD時代の遺跡となった姿もまたロマン。世界観好きにはたまりませんね。

水質管理は多くの方法がとられ、主に水質変化に敏感な水竜の放流、毒物・汚染に反応する水竜のうろこ、水草などでチェックされる。

 

完結済みの長編エッセイ

お米の神様?

101,526文字

東北の山形県、その昭和の時代。3世代6人の家族史と、筆者さまが食べた思い出の料理の数々。おいしそうで珍しい料理がたくさん登場。家族の物語としても引き込まれ、まるで話し声が聞こえてくるかのようです。

個人的には、お母さま周りの話が泣けてしょうがない……現在では筆者さまと打ち解けていらっしゃるようで何より。こういう家族の中での孤独ってのはじわじわと精神に来ますからねぇ。

母の実家は大きな豆腐屋だったから、よく豆腐料理が食卓に上った。

春は隣の家の柿の木の下にわさわさ生えるふきのとうを使った、ふきのとう味噌の田楽が頻繁に上った。

栽培ものではないふきの匂いは強く正直苦手だったが、大人たちは春の味だと大事に食べる。

 

さて、おすすめ完結作品ベスト14はいかがだったでしょうか。ほんとカクヨムにも面白い物語はたくさんありますねぇ

 

なろう・カクヨム、ジャンル別おすすめ! 合計200作以上!

異世界ファンタジー

現代ファンタジー、伝奇

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SF、ロボ

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