ソシャゲって長続きするタイトルが少ないですよね。運営が続くうちにゲームバランスが悪くなっていき、引退者が増え、過疎からサービス終了へ……
他のゲームジャンルと比べてもソシャゲって、ゲームバランスについてユーザーから不満が多いと思うんだけど、その理由を考えてみます。
原因は大きく言って2つあるんじゃないかと
理由① プレイヤーを増やしても利益が増えるとは限らない課金システム
1番大きい理由はこれでしょう。ソシャゲは、ダウンロード無料&基本プレイ無料なのが一般的。その代わりゲーム内の課金要素、いわゆるガチャによって利益を出す構造になっている。
このシステムのおかげで単純にプレイするだけなら無料で遊べてしまう。無課金ユーザーというタイプ。実際に、無課金で遊んでいる人も多いでしょう
つまり、「ユーザー数を増やす=課金額も増える」とは限らないってこと。ユーザーを増やしても、無課金ユーザーなら会社にとっては利益は増えない。
ゲーム会社にとっての目標は利益を増やすこと(=課金を増やすこと)ですからね。課金が増えなきゃ意味がない。
この「会社にとっての利益を増やすためには、ユーザー数というより課金額を増やす必要がある」ってのがゲームシステムを悪化させる大きな原因でしょう。
ここが他のジャンルと根本的に違うところ。他のジャンルには無課金ユーザーが存在しないはずなので。家庭用ゲームは最初に買ってからプレイするし、いわゆるネトゲは基本プレイが有料ですから。
ゲーム全体の課金額を増やすための方法としては
・1人当たりの課金額を増やす
・ユーザー数を増やす
という2つの方向性が考えられます。さらに、それぞれを見ていきますよ。
・1人当たりの課金額を増やす
これが危険な考え方であり、ゲームバランスが壊れる理由。
1人当たりの課金額を増やすためには
・無課金ユーザーと課金ユーザーの格差を広げて課金に誘導する
・強力な課金アイテムを増やす
・課金しないと勝てないようにする
などなどのアイディアがあるけど……ゲームバランスが悪くなってますよね(笑) 無課金の人は楽しく遊べなくなり、重課金の人はさらに搾り取られる。
1人当たりの課金額を増やそうとする→課金への誘導が強すぎてゲームバランスが悪くなる→引退者が増える→結果的に売り上げも減っていく→サービス終了
これがソシャゲ衰退の定番パターンでしょう。
・ユーザー数を増やす
ユーザー数が増えれば、無課金ユーザーだけでなく課金ユーザーも増えるはず。そうなると課金額も増えることが期待できる。1人当たりの課金額を増やさなくても課金者の人数が増えればゲーム全体の課金額は増える。
しかし、ここで注意するべきは無課金ユーザーだけが増えても意味がないってこと。
ユーザー数を増やすだけなら簡単でしょう。ガチャ無料! 石を1万個プレゼント! みたいにユーザーに甘くすればいい。
しかし、甘くしすぎると無課金ユーザーばっかりになる恐れがある。「無課金でも十分楽しめるじゃん。課金しなくてもいいや。」なんて思う人が出てきますからね。
ユーザー数を増やす方法は課金しなくてもゲームを楽しめるようにすること。しかし、それは1人当たりの課金額を減らす可能性が。このバランスが難しい
だからこそ運営はユーザーに甘しすぎないように気を付けている。そして、ユーザーは甘くしてくれない運営に不満を感じるってわけで。
これが他のジャンルだと、「ユーザー数を増やす=利益も増える」という構造なんで分かりやいんですけどね。
家庭用ゲームは単純に売れれば売れるほど利益が出るので、ユーザーを楽しませる面白いゲームを作ればいいだけ。
ネトゲの場合は基本プレイが有料なんで甘くしすぎても基本プレイ分の課金は確実に取れる。ユーザーが増えれば増えるほど確実に売り上げも増えるんだから、ユーザーが増えそうなことをどんどんやっていけばいい。
ユーザーが増えること、ユーザーが喜ぶことをやってもゲーム全体の課金額が増えるとは限らない。これがソシャゲの特徴でありバランスが悪くなる原因だと考えられます。
理由② システムを修正すると返金を申請される恐れがある
ここまではソシャゲのゲームバランスが悪くなる理由を書いてきました。次は、ゲームバランスが悪くなったのに修正されない原因について考えます。
1人当たりの課金額を増やそう→課金への誘導が強すぎてゲームバランスが悪くなった、これは運営も分かってるはずなんですよ。運営はユーザーのプレイ時間・プレイする間隔とかをチェックしてますからね。
「あれ、課金誘導を強くしたら不満が出てるなぁ。プレイ時間も減ってるぞ。このままだと引退者が増えるっぽい。そうなったらゲーム全体の課金額も減って意味ないなぁ。修正するべきか?」
こういうことは運営の中の人たちも思ってるはず。でも、実際には修正されずゲームバランスが悪くなり続けることも多い……
それは返金システムがあるからでしょう。
現在のソシャゲはapple(itunes store)とgoogle(google play)を中継してサービスが提供されてる仕組み。そして、appleとgoogleはユーザーからの返金申請に対応しています。大ざっぱな順番としては
①ユーザーがapple/googleに返金申請
②apple/googleが内容をチェック。規約に合っていればユーザーに返金。
③apple/googleがソシャゲ運営会社に返金した金額を補償請求。
④ソシャゲ運営会社がapple/googleに補償。実質的に返金を負担するのはソシャゲ運営会社。
つまり、返金するかどうかを決めているのはソシャゲの運営会社ではありません。apple/googleが決めていて、そして運営会社はapple/googleに逆らえない(サービスを中継してもらっているから)
ソシャゲ運営には「返金しない」ってのは不可能。もちろんユーザーにとって良いことなんだけど、同時にバランスの修正を難しくしている原因にもなるんです。
・課金に関わるシステムの変更は返金対象
ゲームバランスが悪くなったからと大幅にシステムを変えた場合、それは返金対象になる可能性が。
例えば
①チーム戦実装! チーム戦用のキャラクター、アイテムを販売
②ユーザーがそれを買う
③しばらくして、バランスが悪くなったのでチーム戦を廃止
こんな感じだと「チーム戦が続くと思ってキャラクターやアイテムに課金したのに! なくなったら意味ないじゃん! 返金してくれ!」ということになりかねません。
となると、運営としては返金が怖いのでチーム戦が廃止できない。だけどチーム戦のせいでゲームバランスが崩壊したままで引退者が増えていく……というダメな状況になってしまうわけです。
瞬間的に大規模な返金が発生した場合、ソシャゲ運営会社としては財政的な計画が壊れてしまい、最悪では倒産まであり得る。すごく怖いからものだから、できるだけやりたくない。だから修正できない。
これが他のジャンルだと返金がないので、ユーザーからの要望による大幅なシステム変更が比較的やりやすいんだけど。
家庭用ゲームに返金はないし、ネトゲだと運営会社とユーザーが直接にやり取りしてるので「今回の状況で返金は認めません」と言えばそれで終わり。
もちろん、運営からユーザーへの返金が保証されているのは良いことでもある。運営が法律違反や不正をした時の対策になるわけで。
しかし、少しでも課金に関わるシステムを変えると返金申請される恐れがあり、そのせいで大胆な修正が行えず、ゲームバランスが悪いままになる原因でもあるのです。
まとめ
・無課金ユーザーがいるので、「ユーザー数を増やす=課金額も増える」とは限らない
・ゲーム会社にとっての目標は利益を増やすこと(=課金を増やすこと)
・ソシャゲには返金制度がある
これらの条件によって
理由①、1人当たりの課金額を増やそうとする→課金への誘導が強すぎてゲームバランスが悪くなる
理由②、少しでも課金に関わるシステムを変えると返金申請される恐れがあり、そのせいで大胆な修正が行えず、ゲームバランスが悪いままになる
という大きな2つの問題が生まれている。①がゲームバランスが悪くなる理由、②が修正されない理由。
これらは現在のソシャゲなら全てのゲームに共通する話。ソシャゲのバランスが崩壊していくのは特定の運営会社の質が悪いというよりも、そもそも日本のソシャゲというシステムそのものに大きな原因があると言えます。
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