エッセイ作品51選! (web小説サイト)

事実は小説より奇なり! 面白い実体験がたくさん!

=特に管理人のお気に入り

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エッセイ・実体験

完結

もふもふ日記

338,642文字 (カクヨム版

アメリカ在住の獣医である筆者さまが出会ってきた動物たちの物語。病院ではなく、プライベートな生き物の記録。

ペットの犬、飛んできた鳥、家の中のクモ……さまざまな動物たちが登場して生き物好きにはたまりません。話によっては専門知識を活かした鋭い解説・考察などもあり読み応え満点。写真付きの話もあり。(カクヨム版もあるけど写真が入ってないので、なろうで読むべき)

ネタバレありの感想

基本的にほんわかした日常だけど、たまに悲しい別れも。生き物の話を書くときは避けられないものですからねぇ。
出てくるのがいわゆる「かわいい動物」だけじゃないのが良い。筆者である和泉ユタカさまは本当に生き物が好きなのでしょう。

他にも小エビやら小魚やら、磯には多くのオモシロ生物達がいる。
しかし私的には、磯で見つけて一番嬉しいのは何と言ってもカニですな。ユーモラスな顔、怒ったように爪を振りかざす姿は何度見ても見飽きない。器用にハサミを使って海藻などを口に運び、モグモグと食べる仕草も可愛い。しかし彼等は多くの場合岩の細い隙間に隠れていて、チラリと半分ほど顔を出しても、危険を察知するとあっという間に岩の奥に逃げ込んでしまう。

朝食のヨーグルトに入れる果物を切るついでに、リンゴの蜜の入った部分を小さく切り分けた。

「チュチュちゃ〜ん。おやつですよ〜♡」
水槽に声をかけると、焦茶と薄茶のブリンドルカラーの砂ネズミが懸命に背伸びする。甘いリンゴを両手で持ってシャリシャリと食べるチュチュの喉元を指先でくすぐると、チュチュがリンゴを口に咥えたまま首を伸ばして目を細める。チュチュはアゴの下を撫でられるのが好きだ。うっとりと目を細め、短い首をありったけ伸ばし、そして時々バランスを崩してコロリと転がる。しかしリンゴは離さない。愛い奴め。

また、夫である「ジェイ」さんとも仲良しのようで、2人のやり取りにも癒されます。
とても面白い、すばらしき動物エッセイ。

 

船乗りのヨメ

283,341文字 (カクヨム版

タイトル通り、船乗りの人と結婚した女性のエッセイ。船乗りのヨメあるある、さらに作者さま自身も船に乗る仕事をしていたらしく船乗りさんたちのエピソードが色々と出てきて楽しい。

また子供を持つ母親としての苦労話・嬉しかったことなども書かれています。

 

ボート暮らし ~優雅から掛け離れた日常~

222,861文字

南アフリカ育ちのイギリス人の旦那と、青森県で生まれ育った平凡な日本人の筆者。そんな2人が騒がしいボート生活仲間たちと過ごした7年間。めちゃくちゃで常識はずれで、笑えるぐらいに貧乏な暮らし。

思い出と苦労話の数々。文章力があり筆者さまの感情が活き活きと伝わってきます。水上暮らし、珍しいテーマで新鮮に読めますね。そして男たちは楽しそうだけど、筆者さまを含めて女性陣は現実的で苦労しまくり。見てる分には面白いですが実際にやると大変でしょうねぇ……。

ネタバレありの感想

パディントンからカムデンタウン方向に向かって流れる運河をリージェンツカナルと言う。
景色が洗礼されていて、ボートで渡ると気持がいい。
ロンドン動物園の前を通り、観光用のボートとすれ違う。
何年か前に歩いて見た景色を、今はボートの上から眺めている。
変な感じだ。

しかも、マイナス限度額超えたら、30ポンドほどの罰金みたいなものが引かれるはずだ。

わたしはすぐ外で仲間たちと連んでいる旦那に、わざわざ電話をして中に入るように言った。

旦那はビール片手に、無邪気にやって来た。
旦那の口座の領収書を持って立っているわたしを見て、旦那は逃げようとしたので、わたしはついにキレた。

今日この日まで、わたしはたった一人で、切りつめてがんばってきたというのか!?

う~ん、筆者さま大変そう……
ボートで暮らしながら美しい自然をめぐる! って感じじゃなく、貯金残高を心配しながら男たちに振り回される世知辛い日々。やっぱボート暮らしを選んじゃう男は性格に問題があるんでしょうか……どのエピソードも切実。よく離婚を我慢したなってレベルだし。

これ、たぶん男性側が書くと「Fooo! ボート暮らしは最高だったよ! HAHAHAHAHA!」みたいなエッセイになっちゃうんですよね(笑) そうなっておらず、苦労話が前面に出てるのが良い。珍しいボート生活と不思議でカオスな人間関係。インパクトのある体験記です。

 

私書店員、ラノベ担当。

私書店員、ラノベ担当。(コミナトケイ) - カクヨム
私の書店に異世界ハーレムを期待するのは間違っている?

141,585文字

2014年から15年にかけて、ライトノベルを担当していた書店員さんの悲喜こもごも。最近では人気のジャンルとなったライトノベル。それを売る側の世界とは?

文章にちょっと無駄な感じの部分もあり、やや冗長。しかし本屋さんの内情が分かって面白い。やっぱ消費者として見るのとは違った世界があるんですな~。

ネタバレありの感想

ライトノベル全体の売り上げ自体は好調に推移しているようではありましたが、販売ロスがずっと続いているのはよろしくない。

でも『甘ブリ』の穴を埋められるだけの回転がある作品となるとなかなか難しいだろうと思っていました。

そんな状況を救ってくれたのはMF文庫Jさんの『魔弾の王と戦姫ヴァナディース』。

中盤に差しかかっていくにつれて売れ行きも上がっていってくれました。

ただ、『艦これ』の場合、アンソロジーにライトノベルなど、膨大な関連商品があったことが、かえって新規のアニメ視聴者さんに「どれから読んでいいかわからないよぉ……」といった混乱を生んでしまったような気がします。

一時期の艦これ横展開はすごかったですねぇ。
他の作品でも本屋さんの業界ネタを見たことがありますが、やはり外からは見えない苦労が色々とある様子。
ラノベと本屋さんに興味があるなら間違いなく楽しめるエッセイです。

 

モノクローム・サイダー

モノクローム・サイダー(鯨武 長之介 ) - カクヨム
レトロゲームが繋いだ、現在進行形のラブレター

111,296文字

高校最後の夏を迎えたゲーマー男子は、学校の屋上で1人の少女と出会う。彼女も携帯ゲームが好きな様子で……? 後に結婚する2人の甘酸っぱい出会いを振り返る小説風の実体験エッセイ。

読んでいると幸せラブラブなオーラがやばい。ここまで幸福感があふれだしてる作品はめったに無いのでは。ゲームをきっかけに美少女と恋人になる、というのがまずゲーマーにとっての夢の展開。

しかし、それよりすごいのが結婚して15年も経ってるのに、奥様への愛と恋心が変わっていないこと。出会った少女がどれだけ魅力的なのか繰り返し説明されるんだけど、その少女は現在の奥様のわけでしょ? つまり壮大なノロケ。幸せな結婚生活を送ってこられたんでしょうなぁ、すばらしい。

ネタバレありの感想

通信に物理ケーブルが必要だった時代、隣に座りあって毎日対戦して、だんだん仲良くなっていく……理想的な青春すぎる。

優しさとルックスについては文句なしである。

今どきの女子高生のような派手さはもちろん見当たらない(そもそも、子ギャル風貌であれば惚れてはいないと思う)。そしてオタク女子のような雰囲気でもなく、上品とも庶民的とも思えぬ中性的な顔立ち、そこからにじみ出る時に静かに、時に小さく微笑む表情とその手に握られた携帯ゲーム機は最高の組み合わせである。

まだ部活時代の名残りである限りなく薄い小麦色の肌と耳までの黒い短髪、そして華奢な細身は、ファンタジーゲームの武器に例えるならば、まるで細身の剣、レイピアのようだ。

青春の高校時代にこんな想いを持つのは普通。だけど、結婚して長い30代も後半のおじさんが今さらこれを書けるってのはリア充感がやばくないですか!?

恋愛ものだと「カップルになって終わり」または「結婚してゴール」というのが多いけど、現実はそうじゃありませんよね。
結婚してからも人生は続くし、むしろ結婚した後こそ幸せな生活を送るのが難しいもの。離婚する夫婦だって多いわけで。

それなのに今でも奥様にこれだけ素直な好意を持ってるとか……良い結婚生活を送ってこられたのでしょう。

―――「そんな時もあったね」
妻は思い出したかのように、でも少し照れ臭そうにしたのを僕は見逃さなかった。

「あの時は本当に一杯いっぱいだったとも」
僕も少し照れ臭くなる。

子供もいるのにこのラブラブっぷり! なんという幸せオーラ! やばい!
まぁ、読者から見ても由美さんはとてもステキ。これはノロケざるを得ない。
並みのフィクションをはるかに上回る、現在進行形の超ベタ甘な恋愛物語です。ある意味、覚悟して読んだ方が良いかも……(笑) こんな人生を送りたかった。


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底辺工業高校。そこはある意味異世界だった。

109,826文字 (カクヨム版

暴力といじめが支配し、教育レベルはドン引きするほど低い。ヤンキー漫画なんて目じゃない底辺高校の思い出をユーモアと憎しみたっぷりに書く。すばらしいギャグセンスがあり笑えるんだけど、内容としては闇そのもの。

 

割れオタに閉じオタ

割れオタに閉じオタ(南 伽耶子) - カクヨム
「オタクだ、オタクだ。お前はオタクになるのだ」「たあーっ」

107,901文字

夫婦ともにオタク、影響を受けた子どももオタク! オタク一家の思い出と日常。ユーモアがあり読みやすい文体。

情報から推測するに、作者さまは60歳ぐらいの女性。それでオタクってのは割と珍しくて読んでて面白い。あとは夫婦がとても仲良しのようで癒される。趣味が合って歳をとっても仲が良い夫婦、理想的では。

 

お米の神様?

お米の神様?(南 伽耶子) - カクヨム
昭和の食卓。田舎の食卓。レシピ付き山形県西置賜弁エッセイです

101,526文字

東北の山形県、その昭和の時代。3世代6人の家族史と、筆者さまが食べた思い出の料理の数々。おいしそうで珍しい料理がたくさん登場。家族の物語としても引き込まれ、まるで話し声が聞こえてくるかのようです。

ネタバレありの感想

母の実家は大きな豆腐屋だったから、よく豆腐料理が食卓に上った。
春は隣の家の柿の木の下にわさわさ生えるふきのとうを使った、ふきのとう味噌の田楽が頻繁に上った。
栽培ものではないふきの匂いは強く正直苦手だったが、大人たちは春の味だと大事に食べる。

「伽耶ちゃんもちょっこっと食ってみねが? 」

と箸の先ですくってあーんと開いた口に入れてくれたが、その苦さ(ほろ苦くてうまい、という概念はなかった) 匂いの強さに辟易し、しかめた顔を大人たちに笑われながらも二度とこんなものは口にすまいと誓った。

11人兄弟の末っ子で成績優秀だったのに、高校二年で父が死んで家業が傾いたため、母は大学に進ませてもらえなかった。
上の兄たちを進学させるためにあきらめさせられたらしい。
そんな『女は我慢』を地で行く教育を受けてきた母が、大事にされる美しい姑を身近にしていたのだからかなりの葛藤があったと思う。
だが長い間私には母の苦しみが分からなかった。

個人的には、お母さま周りの話が泣けてしょうがない……現在では筆者さまと打ち解けていらっしゃるようで何より。こういう家族の中での孤独ってのはじわじわと精神に来ますからねぇ。

父方のおばあさまも、良いキャラしすぎです。めちゃめちゃ存在感ありますよ。

ほんと、すごい筆力。文字を読んでいるだけなのに、匂いや音があるかのごとく感じる。とても良質なエッセイです。

 

医療業界で一番地味な薬剤師エッセイ

98,599文字

50歳を超えた薬剤師が医療業界の今昔、これまでの体験などをつづる。専門性が高い業界なんで内部をのぞけるのは面白い。また、ブラックな内情・失敗談などもあり医療関係者といっても人なんだなぁと思わせてくれます。親近感と警戒感。

 

パチンコ屋店員芸人奮闘記「それでも僕は、やめていない」

パチンコ屋店員芸人奮闘記「それでも僕は、やめていない」(原田おさむ) - カクヨム
ピン芸人であり、現役パチンコ屋店員、原田おさむのパチンコ店員風雲録。

82,580文字

パチンコ店員歴22年。泣く子も黙るパチンコ業界に飲まれ、この男は何を見て、何を体験してきたのか?

パチンコ業界の内情、深い闇が分かって迫力満点。内容はハードだが重くなりすぎず読みやすい。やっぱり、どんな人間と出会えるか? ってのが大事なんですねぇ。良い人と出会えると働きやすいけど、ダメな人と同じ職場になってしまうときつい。

ネタバレありの感想

「ここは新店です。君らはここのリーダー社員候補。これからこの従業員の教育と指導、研修を全てやるように。」

えっ?こんなけたくさんの人間の指導?
全くの未経験の集団の研修?

さらに話は進む。

「はっきり言って店長、マネージャー含め、4人しか既存の社員はいません。君らでこのお店をゼロから作り上げてください。無論、下の人間が育たないと、休みもとれないのでそのつもりで。」

雲行きが怪しくなってきた。

店長が言う。

「な?仕事に穴あける奴、許せんやろ?」

「・・・はい。」

「なんで真面目に時間守って出勤してる人間が、苦しまないとあかんねん?って思うやろ?」

「・・・・はい。」

「遅刻する奴は、クズやろ?憎いやろ?」

「はい。憎いです。」

・・・憎い。・・・憎い。

そのマニュアルのタイトルは、
「すべてはお客様のために」
そのタイトルを女の子は塗りつぶし、こんなタイトルにしていた。

「すべては店長のために」

さらにその中の内容も全て書き換えられていた。
「お客様を良く見ましょう、お客様のしてほしい事を考えましょう。」

「店長を良く見ましょう、店長のしてほしい事を考えましょう。」

「お客様の望む事をしましょう。お客様があなたを評価してくれます。」

「店長の望む事をしましょう。店長があなたを評価してくれます。」

ブラックな職場の辛さ、クソみたいな上司、それによって崩壊していく精神、無能な人間と出会ってしまった時の大変さ……

ブラック企業で働いた体験談、お仕事ものとして非常にインパクトがある内容。どのエピソードに業界の闇と筆者さまのリアルな心情、そして必死の努力が詰まっている。
やばい話しかない。パチンコ業界怖い……。
テンポも良く読めてしまう、迫力の体験記です。


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フィリピンで現地スタッフを使い、工場を建てる簡単なお仕事です

フィリピンで現地スタッフを使い、工場を建てる簡単なお仕事です(南野海) - カクヨム
フィリピンで仕事しろ! 海外童貞びっくり、マジですか?

73,020文字 (なろう版

中堅ゼネコンにつとめていた「南野」さんは、突然のフィリピン勤務を命じられた! 少し昔の海外での悲喜こもごも。軽快で読みやすい文章。建築のお仕事話、濃い上司たちとのほのぼの(?)エピソード、現地のフィリピン人とのやり取り、ダイビングの美しい光景……1話ごとに話題が変わりテンポがとても良い。

ネタバレありの感想

ユーモアたっぷり!

これは私がまだ、某中堅ゼネコンにいた時代の話です。
当時、名古屋で新築の現場をやっていましたが、そこでは現場所長ではなく次席。ある日、所長から話がありました。

「会社から言われたんだけど、君、来月からフィリピン勤務になるらしい」
「は?」

いったいなにをいってるんじゃ、このおっさんは!

来月からって、もう月の半ばを過ぎてねえか?

ここは「ジャーマン・チャネル」。世界でも有名なマンタポイント。
真っ白な砂地を泳いでいくと、やがてポイントに到着。そこで少し待っていると……。

来た、来た。マンタきた~っ!

ここのマンタは比較的じっくり観察できます。一瞬だけのすれ違いマンタとか、遠目で逃げ去っていくマンタではありません。
翼のようなでかいヒレをゆったりと動かしながら旋回。
南野、カメラのシャッター、ばしゃばしゃ。

リズミカルな文章ですよ~。

個人的にはグイグイ来る上司Sさんが印象に残ってますね

打ち合わせの最後のほうに、Sさんが言います。

「この南野はまだプロジェクトマネージャーとしては、未熟ですが、心配には及びません。私がちゃんと面倒見ますから」
「おお、そうですか」
「まかせてください」

うそでもいいから、「この南野は若いけど優秀なので、大船に乗った気分でいてください」とかいえんのか!

打ち合わせが終わり、施主と別れた後、Sさんがほざきました。

「なんでも俺に相談しろよ」

一緒にいると面倒くさそうだけど、見てる分にはキャラが濃くて楽しい(笑)
サクサク行ける読み進めていける良質エッセイです。

 

性的虐待を受けて育った私の話

性的虐待を受けて育った私の話(Miyu) - カクヨム
多分これは、あなたの身近でも起こりうる話

52,835文字 (なろう版

父親から長きにわたって性的虐待を受けた実体験。すさまじく重いけど、だからこその価値がある。これだけ苦しいことを書ききった作者さまに敬意を示します。

ネタバレありの感想

父は機嫌がいいときはすごく朗らかで気前がよく、舎弟と呼ばれる人たちに奢ってあげたり、何かを買い与えたりしていた。

だが、何かの拍子で怒ると火山が噴火するかのように激昂し、大暴れして物を投げたり壊したりするので辺りが壮絶な有様になった。

その度に、母や舎弟の人たちが宥め、煽てて、文字通り身体を張って落ち着かせないといけなかった。

幼い私にとって父の二面性は不可解で、暴れる父は怪物のようで震えるほど恐ろしかったが、機嫌がいい時の父は頭を撫でてくれたりして優しかったので大好きだった。

私の父親も怒ると一気に暴力的になる人だったので、少し分かりますねぇ。
父親からの行為、それを周囲に隠し通してきた苦しみ、明らかになった時の混乱、父親の錯乱した行動……読んでいると頭がくらくらしてきます。
これだけの内容を暗くなりすぎない文章で分かりやすく体験記としてまとめきっているのはすごい。

 

らくだ図書館(カクヨム版)

らくだ図書館(カクヨム版)(常木らくだ) - カクヨム
落選135回の筆者が送る、渾身の小説投稿エッセイ

50,784文字

落選135回の筆者が送る小説投稿エッセイ。ライトノベル新人賞に挑戦する苦しみと楽しさ、そして面白エピソード。web小説を投稿している人にも共感できる部分がけっこうあるのでは。

ネタバレありの感想

7年ほどの活動期間で落選135回! う~む……すごいチャレンジ精神と、受賞の壁の厚さ。
内容としては小説投稿のきっかけ、応募者あるある、落選の辛さ、失敗から得た教訓などなど。

私のように応募活動をしていない人でも、珍しい世界の一部を見ることができて面白いです。
とは言いつつも、読者よりも作家として活動している人の方がより楽しめるエッセイかもしれませんね。

毎日コツコツと書き続けた結果、3月中旬に初めての小説が完成しました。最終的な枚数は、42字×34行で94枚。80~130枚という電撃大賞の規定枚数を満たしています。あの時の興奮は今でも忘れられません。書きかけだった北京時代を含めると、実に一年半近くかかっているので、無事に完成した感動もひとしおでした。

アイディアが完成する瞬間っていいですよね! 創作は楽しい!
まぁ、私のやってるブログの場合は1記事ごとに独立してるので、長編小説を書きあげた感動が理解できるわけじゃありませんが……小説を書いている人なら超共感できるのでは。

また、落選した時のエピソードは作者さまの心情がありありと伝わってきて引き込まれます。

この一年間を無駄にした!

新人賞で落選してしまった時、投稿者が陥るマイナス思考の筆頭が、おそらくコレではないでしょうか。かくいう自分も、小説投稿を始めた頃は、完全にそう考えておりました。

「あんなに頑張ったのに落ちたなんて……」

「この一年間は完全に無駄だったんだ……」

そう考えると、もはや何を信じていいかわからず、すぐには立ち直れないような精神状態に陥ってしまいます。

う~む……努力が評価されなかった時は悲しいもの。長編を書くのは時間かかるでしょうし……想像するだけで辛い。色々なストレスを乗り越えて活動を続けている創作者さまたちには頭が下がります。

 

書籍化の打診が来ています -出版までの遠い道のり-

38,873文字  (カクヨム版

「異世界コンサル株式会社」の作者さまが、出版社の人と打合せをした時の体験記。出版社の人が「小説家になろう」および「web小説」をどう見ているのか? ということが分かって興味深い。

作者さまがコンサルタント業界の人でビジネス知識に強いおかけで、質問内容と回答に対する分析が的確。知りたい情報をしっかり引き出してて読み応えあり。出版業界に対する考察も深いです。

ネタバレありの感想

なろう書籍化ビジネスとは
・通常のラノベ出版と比較して、初速が良くリスクが低い、という特徴がある。
・初速の良さはWeb連載を通じて多くの読者を獲得しているためである。
・リスクの低さとはデータに基づく出版部数の見積もりの正確さであり、在庫リスクの低さである。
・原作を中心としたマルチメディア方式で、当たれば大きなビジネスになる可能性がある。

編集の方との話を通じて、なろう書籍のビジネスの全体像が見えてました。
そして、自分の作品がどういう位置づけなのかも。

これもソシャゲのガチャで例えるなら、出版社にとって自分の作品はガチャチケです。

ほほー、なるほどぉ。出版社にとってweb小説の書籍化とはソシャゲのガチャを引くみたいなもの! 分かりやすく実感できる表現ですが、やっぱ悲しくもなりますね(笑) 1発必中ではなく確率論で数を出していく感じだと。

書籍化された作者さまは打合せ前に読んでおくと確実に勉強になるでしょうし、そういう人でなくてもweb小説と出版業界の内側を見て楽しめる良質なエッセイでしょう。

タイトルの割にあっさり短く終わっちゃうのが残念ではある。もう少し長く深く掘り下げてほしかったけど、あんまり書くと怒られるんでしょうねぇ(笑)

 

猫と過ごした愛しき日々

猫と過ごした愛しき日々(圭琴子) - カクヨム
これまで出会った猫たちは、人生に豊かな彩りを与えてくれた。

35,415文字

2匹の飼い猫や、野良ネコたちとの時間。猫愛がつまってます。悲しいこともあるけれど、やっぱり猫は幸せを運びますよね。

ネタバレありの感想

よく猫は、お腹が空くと飼い主を起こしにくると言うが、アリスはその斜め上をいっていた。

母に朝ご飯を貰ってお腹がいっぱいでも、寝起きの悪い私を起こしにくるようになったのだ。

爪は出さず、肉球で頬をペタペタと。

言い切ってしまうが、肉球は猫の醍醐味の一つである。

その肉球でペタペタ、だ。

堪らない。

惜しいのは、日曜日にも起こされてしまう点であるが、そんな不都合は気にならないくらい、心地よかった。

なんと……肉球でペタペタ!? うらやましい。

ノラ猫たちとのエピソードも笑いあり涙あり……しかし、筆者さまは相当に猫と縁が深い様子。私はこんなに出会ってませんなぁ。
猫愛がつまったエッセイです。

 

ちょっくら離婚調停いってきます

ちょっくら離婚調停いってきます(七津 十七) - カクヨム
離婚は楽じゃない、けど……。

25,098文字

子どもが産まれたその日、旦那が家を出ていった。理由は謎、音信不通。初めての出産から、そのまま離婚調停に……

う~ん……世の中広いと言うしかないのか。ものすごく辛かったはずなのに、暗くなりすぎずユーモアもあり読みやすい文章。筆者さまの強さ・前向きさに尊敬せざるを得ません。離婚調停の流れも分かりやすく勉強できてしまいます。

ネタバレありの感想

産んだ時にはいたのだが、産まれても喜ぶどころか、産後ハイで喜びはしゃぐ私に向かって「うるさい、黙れ」ときたもんだ。ハイである私は当時何も感じず「サーセンwwwww」と返したのだが、こうして思い出すと中々酷いもんである。私もサーセンって。マタニティハイを引きずっていた。

そして次の日、家からいなくなった。荷物もなければ何もない。本気で行方をくらましたのだ。

――その後、病院中から離婚する間、そして現在に至るまで、旦那が息子を見る事は一度もなかった。

他の読者さまも言ってますが、事実は小説より奇なり……旦那の両親の闇っぷりもすごい。逃げたしてきた息子を全肯定だもんなぁ。色々な人がいるもんですね……毅然かつ適切に対応した筆者さまは本当に立派。離婚後は幸せに過ごせているとのことで。よかったよかった。
驚きのノンフィクションです。

 

ゲル化剤を用いた巨大プリン製作についての考察―有限要素法によるバケツプリンの自重崩壊を起こすき裂発生点の同定―

14,363文字

論文形式で巨大プリン制作の様子を書く、という上質で手の込んだユーモア! 分析は割と本格的なのにやってることがバカらしくて面白すぎる。画像もたっぷり用意されていて迫力満点です。

なお「付録」は内容としては実際の研究日誌であるものの、作者さまと関係者の身バレを防ぐためにフィクション風味にしてあるとのこと。

ネタバレありの感想

経験がある人なら分かりやすいでしょうが、論文としての形式も本気で作られててすごい。概要から今後の課題まである!

そこで本研究室では,おやつを自作することでこれらの出費を抑える方法を提案している.自作のメリットとしては一度に大量に作ればその分コストを抑えることができること,また,作る喜びを感じ取ることで息抜きとなり,より有意義な研究生活を営めることがあげられる.

今回においては,おやつとして最もメジャーであるプリンに着目した.プリンは比較的作り方も単純で一度に大量に製作することができるうえ,食べるととても幸せな気分になれる.さらに,誰もが夢見る巨大プリンはとても魅力的であり,そのコストパフォーマンスが優れることは疑いようがない.そのため,巨大プリンを安定して製作できる手法を開発することは,食費の節約に大いに貢献できると考える.

まぁ、手順と分析が本格的すぎて私では上手く理解できませんでしたが……それでも十二分に楽しめる内容。流し読みでも雰囲気はつかめるので問題なし。

そして付録部分では作者さまの思考が活き活きと自由に書かれています。

味は普通にデリシャス。昔懐かしのプリンってかんじ。自立しているからか卵で作ったプリンほどの滑らかさは感じず、けっこう固めでどちらかといえばゼリーのそれに近かったけど普通においしい。あのちょっとチープな感じがたまらない。

才能の無駄使いと言うか、本気すぎる遊びと言うか。これぞユーモア、良い意味でなろうに場違いなハイレベル作品です。

 

元風俗店員の風俗こぼれ話

11,288文字

男性社員として約10年働いていた筆者さんによる業界裏話。外からだと見えてこない情報が多くて面白いです。特殊な業界ゆえに色々とカオスなこともある様子。

ネタバレありの感想

さらに、早い人は店に出て半日で休憩と称してして外に出てふらっといなくなって二度と店に戻ってこなくなり、一ヶ月後の給料日に給料をもらった翌日に新人が来なくなることも珍しくありません。
きちんと一ヶ月前にやめるといって迷惑がかからないように引き継ぎをしていく人はめったにいません。
また店の金や女の子に手を出してクビになる場合も多々あります。

うむむ、すごい……
小説家になろう・カクヨム界隈でも、探してみれば特殊な職場の経験があったり専門知識を持っている人がいたり。予想外のところで豆知識が増えるのもネットの面白さですね。

連載

 

純粋脂肪批判

純粋脂肪批判(雅島貢@107kg) - カクヨム
Misskey(鍵につけてるTileの電池を変えようの意)

466,188文字

35歳で約173cm、84㎏。瞬間的には100㎏を越えてこともあるデブな筆者が飯ネタとか色んなことを書きまくる!

ともかく語り口が面白い。怒涛の勢いでボケまくり。内容は割と何でもよくて、筆者さまの文章そのものが楽しい。人を選ぶタイプの文体だけど私は好きです。

 

ゆっくりゆうやけ

451,273文字

中国暮らしの筆者が、中国ネタ・日常の考えなどをつづる。筆者さまの考えがじっくり伝わってくる落ち着いた文章。

 

うちのかわいいかわいい猫

220,885文字

飼い猫との生活と、家の周りにいる野良ネコたちの観察記。ねこあるある多数。めっちゃ分かります。

ネタバレありの感想

うちの猫はかわいい。

夜になると決まって僕の部屋にやってくる。

僕の部屋に入るとにおいをかいで、ひととおりうろうろする。
ゆっくりとした動きで足を乗せ、慎重に雑誌の山を崩す。
カーテンのなかに誰かがいないかを確認する。
ベッドにちょっと横になり、落ち着かない様子ですぐに立ち上がる。
そして、なにかを思いついたかのようにドアの前に駆け寄る。

「開けてくださるかしら?」

という顔で僕を見つめる。
大きな瞳を僕に向けて、首を傾げてみたり、不機嫌そうに鼻をならしたりする。

この一連の流れが習慣のようになっている。

その日は夕方になっても暑くて、僕もうちの猫もぐったりしていた。

こんなに暑いと行動パターンがいつもと変わってくる。うちの猫は風通しのいいフローリングの床にべったりと張り付くようにして横になっていた。
僕が近づいてもまったく動かない。ちら、と視線を動かすだけだ。

「あっついですねー」

と言いながら、僕も猫の横でフローリングにへばりついてみた。
意外と冷たい。

かわいい! ほんま猫ってこんな感じ。
文章もユーモアがありリズムもいい。猫好きならぜひ読むべし。

 

ダンゴムシ魂

205,123文字

色んな生き物を飼ってみた体験談。タイトルと目次を見れば分かる通り、一般的なペットだけでなく虫・爬虫類なども含まれます。う~ん、すごい人だ……

ちょっと閲覧注意かもしれないけど、生物が好きな人にはたまらない内容。

 

ウチの子(猫)日記

174,921文字

猫との生活を軽快な文章で。写真付きの話も多数。猫エッセイは安定の面白さ。猫って生き物が面白くてかわいい。

ネタバレありの感想

ウチの子(猫)の気質は女王様である。そして、わたしは下僕。女王様の態度によって物事が動く。

最近は夜が冷え込む。ある夜、猫がいつも通りわたしのベッドへやって来た。いつもならわたしの体の上に乗るのだが、その日は違っていた。
わたしの顔の横に来たのである。どうしたのかと思っていると、猫がわたしを見た。
これは、もしかして……。わたしは掛け布団を持ち上げてみた。すると猫は掛け布団の中に入っていった。
どうやらわたしが掛け布団を持ち上げるのを待っていたらしい。自分から潜り込めば良いものを……。やはりそこは女王様だからだろうか。

分かりますわー(笑)

 

胖姐看中国

147,447文字

さまざまな文化風習と、筆者さまの実体験の数々。楽しく読みつつ中国についての知識が増えること間違いなし。

 

リアルRPGを日本でやりたい!! LARP奮闘記

リアルRPGを日本でやりたい!! LARP奮闘記(雛咲 望月) - カクヨム
異世界召喚リアル体験って!?究極のガチゲーム「LARP」日本上陸!!

131,268文字

Live Action Role Playing、頭文字をとってLARP。道具や衣装を用意してキャラクターになりきってストーリーを進める、本格的ごっご遊び。それを主催されてる方の体験談かつ、サークル「レイムーンLARP」の成長記録とも言えるでしょう。

LARPの楽しさが伝わってくるし、企画の裏側も見れて面白い。ちょっとでもイベント企画とかやったことがある人間としては準備・宣伝の大変さが共感できすぎる(笑)

やはり文字だけだと雰囲気が分かりづらいから、先に「レイムーンLARP」のホームページを見てみるのがおすすめ。世の中には色んな遊びがあるものですねぇ。

 

旅行紀

旅行紀:学生編(紫水街(旧:水尾)) - カクヨム
旅の過程にこそ価値がある

105,886文字

エッセイ。世界各地の貧乏旅行日記。流れるようなユーモア! 読んでいて非常に楽しい文章です。

ネタバレありの感想

そして飛行機は飛び立つ。

上海まで一時間半、短めのフライトながら国際線なので機内食が提供される。

「ビーフオアチキン?」と訊かれたら「ア゛ァッッッ!?」と答えようと思っていたのに何も訊かれなかった。ビーフ一択だった。命拾いしたな。

メニューは牛丼みたいなやつ、ポテトサラダ、漬物、パンとマーガリン、スイカ、ピーナッツ、ビスケット、カップに入った水。いつもの機内食である。それにしても、季節を問わずスイカが登場するのは一体どうしてだろう。

世界が揺れている。

もちろんここでいう世界とはつまり機体のことであって、何が言いたいのかというと、この飛行機めっちゃ揺れる。

こういうのを「文才がある」というのでしょうか。ああ、私も人を自然に笑わせる文章が書けるようになりたい。

もちろんギャグだけでなく、各地の風景描写も見事。

なんとか探し当て、無事に乗船できた。

夜の運河は思っていたよりも明かりが少ない。そう、イタリアの建築物はどれも窓ががっちりしているのだ。カーテンではなく雨戸で、不審者の侵入を防ぐためだとでも言うようにしっかり固めてある。おかげで外に光が一切漏れてこない。日本のように建物からの光がないため、街灯のないところは真っ暗である。

真っ暗な運河のところどころにぽつぽつと明かりが灯っている中、船は相変わらずゆらゆら揺れながら進んでいく。これはこれで風情があってよいものだ。

見た物だけでなく、その時の印象までしっかり書かれてるのが良い。より臨場感があります!
笑いながら外国の空気を楽しめる、極上の旅行記です。

 

日本人サラリーマンも世界を食べる

【スニーカー文庫《俺のラノベ》コンテスト「笑える話」特別賞入選】日本人サラリーマンも世界を食べる(蒲生 竜哉) - カクヨム
外資系に勤める日本人が、日本人視点で各国のお食事事情をお届けします。

104,040文字

外資系社員の国際グルメエッセイ。ヨーロッパからアジアまで幅広い場所のエピソードが登場。ネタの面白さ・珍しさはグルメエッセイでも上位ですね。

 

独逸異聞録

独逸異聞録(茴香) - カクヨム
『ドイツ人を探せ! いたぞ! レストランで鼻をかむ奴らだ!』

94,749文字

筆者さまは永住権を申請できるぐらい長く住んでいるとのこと。深く細かいところまで親近感たっぷりに書く。国によって文化風習は色々、外国ものは鉄板の面白さと言えます。

 

初老の目から見える風景Ⅰ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881109776

80,319文字

40代の作者さまが今までの人生と日々の考えをつづるエッセイ。まったく上から目線ではなく、自分の考えが素直に書かれていて読みやすいです。体の老い、父親との別れ、人生の疲労。

web小説の読者は若い人が多いはず、年上の頭の中をのぞいてみるのも面白いのでは。

 

フリースタイルダンジョンからヒップホップに興味持った奴ダンジョン

フリースタイルダンジョンからヒップホップに興味持った奴ダンジョン(黒道蟲太郎) - カクヨム
韻とビートを操りゃきっと、ニートの私も今日からヒーロー…まあ、無いか。

73,559文字

韻を踏み踏み相手をディスったり自分の優位を示すことで勝ち負けを付けるラップバトル、それがフリースタイルダンジョンだった!

まったく知識が無かった筆者さまがヒップホップの世界に引き込まれていく様子が臨場感たっぷり! 驚きと感動が伝わってきます。私もヒップホップへの印象が変わりました。

 

とあるエロゲシナリオライターの日常

お探しのページは移動または削除されました - カクヨム

69,150文字

エロゲ業界でフリーで活動中のシナリオライターが書く、仕事の内容と業界の事情。さすがにライターさんなのか、読みやすく分かりやすい。このエッセイ自体にはエロ要素は無いので安心。

エロゲをやってなくとも仕事ものとして楽しめる内容。ディレクターとライターの力関係、リナリオ重視から萌えイラスト重視への変化……どんな業界にも、独自の事情があるんですなぁ。

ネタバレありの感想

まず、「自分は往年の名作のような泣きゲーを作りたい」と思っている人はエロゲではなく別の道を模索した方がいい。今まで散々書いてきたが、今は萌えの全盛期であり、ほとんどのメーカーは萌えしか求めていない。泣きゲーを作ろうとして業界に入ると、きっと、いや、絶対絶望することになる。そんなシナリオは書かせてもらえないから。実際、好きなものが書けず辞めていったライターを何人も見ている。俺自身、一時は萌えを書くことの難しさに挫折しかけたこともある。
つまり、今シナリオライターに求められている資質は「萌えキャラ/シナリオが書けること」この一点である。

そして絶対的にNGな外見的な特徴が、「眼鏡」である。
またClochetteやオーガストのHPを見て欲しい。
サブにいたるまでまさに絶滅危惧種である。
眼鏡好きは一定数いるはずなのだが、眼鏡嫌いの人も一定数以上いて、通常は裸眼だが勉強のときだけとか自宅にいるときだけとか、シーン限定で眼鏡をかけることが発覚すると「ふざけんなよ」とブチ切れる人がいるのだ。
だから緑髪以上に、メーカーは眼鏡のキャラを徹底的に避ける。
緑髪+眼鏡のコンボなんて決めてしまったら目も当てられないので、その組み合わせは絶滅危惧種どころか既に絶滅してしまっているだろう。

確かに……眼鏡キャラって最近では見ませんね。エロゲだけでなくラノベ・萌え系漫画でも眼鏡ヒロインって超少ない気が。
読むとエロゲに限らず萌え・男オタクについての理解も深まります。
時代の変化、仕事のノウハウ、カオスな体験談……上質な職業エッセイ。

 

うちのダンナはぽっちゃり男子

66,932文字 (カクヨム版

プニプニで家事上手かつ、さびしがりやの夫。小説が趣味で男前と評判の妻(筆者さま)。2人とも50代にしてオタク。ラブラブ夫婦エッセイ。

こてこての関西弁がリズミカル。そして、仲良しっぷりがすごい。娘さんも含めて3人家族の全員がええキャラしてます。筆者さま作のイラストもゆるい雰囲気が上手く描けてて癒される。(カクヨム版はイラストが無いので残念)

ネタバレありの感想

それで昨日は、家族でちょっとお出かけして、他にも買い物はしたのですがダンナの誕生日プレゼントも買いました。
ピンク色のTシャツです。某ユニ○ロで、いまちょうど、某少年漫画キャラのプリントされたTシャツを販売しているようなんですが、その中に出てくるちびトナカイキャラのTシャツにしておきました。
なにしろまっしろお肌なので、ピンクが本当によく似合う。
まあ逆に、こんがり日焼けした肌にも似合うのでしょうけれども。
帰ってきてからシャワーを浴びて、早速着用しておりました。
トナカイキャラの可愛さもあいまって、もう着ていると超らぶりいです(せやから目医者へいけ)。

ダンナももちろんそうなので、うちでカラオケにいくともう徹頭徹尾、ヲタ臭い選曲のラインナップとなります。
アニメと特撮の歌をひたすら、三時間でも四時間でも歌い続けられます。
まあ年代が違うので、私たち夫婦はなつかしい系の歌に集中しますが、子供はやっぱり最近のボカロの曲だとかが多いですね。なんやずーっとキンキン高音でやたら早口でメロディあるんかないんかわからず、私には理解不能な曲が多いのですが。
あ、別に悪い意味ではありませんよ?
年齢とともに、誰しもああいう高音域の多い早い曲は好みから外れてゆくものらしいんで。まあ自然な流れっちゅうやつですわな。

う~ん、ステキな家族! なんというか少年少女の甘酸っぱい青春より、中年になっても仲良し夫婦の日常の方が癒されません? 安心感がすごい。読んでる方も幸せになれます。

 

住所不定職業不詳、それでも働く精神病患者の実録記

65,480文字

双極性感情障害、より一般的な表現だと躁鬱病患者である人のエッセイ。苦労しつつも徐々に無職から派遣、そして正社員へ。筆者さまの生活と人生がダイレクトに伝わってきて心に響く。また、読むとすぐ分かりますが同棲している彼女さまが精神的イケメンすぎる……!

ネタバレありの感想

皆様は実の親に「お前を殺して俺も死ぬ!」と言われながら包丁を突きつけられた経験はお持ちだろうか?

え?ある?

では父親が運転する車が断崖絶壁を目指してアクセルベタ踏みされた経験は…。

ああ、それもお持ちですか。

ならば全身をベッドに拘束されて無理矢理注射を打たれた経験は?

ああ、無い!良かった。

…とまぁ、不幸自慢など挙げていけば切りがないもので。私の親は私と同じ病、双極性感情障害を患っている。判りやすく言うと躁鬱病とも申します。わたしはそんな親の元で育ちまして、精神病というものに興味を持って大学に入り国家資格を取得し精神科で働きました。

そんなわたしが親と同じ病気を患うなど考えもしませんでした…。

壮絶な経験をされてきているようで……読んでいて迫力があります。

そして、彼女さんがほんとかっこいい。めっちゃくちゃキャラ立ちしてる。

スゲェ神格化されているわたくしの彼女ですが、個人的彼女のスゲェ言動を振り返ってみましょうか……。

①セパ 「こんな男で良いの?幸せにできないよ?」

彼女 「幸せかどうかは、わたしが判断する。お前に決められる筋合いは無い。」

②精神科退院直後、就職活動に悪戦苦闘中

セパ 「全然仕事決まらない……。」

彼女 「いっそオレの扶養になるか?」

※彼女の一人称は基本何故か〝オレ〟、たまに〝わたし〟

③セパ 「病気も患ったし、お金もないし、結婚も無理だ、別れよう……。」

彼女 「別れるメリットは?」

セパ 「いや、これ以上迷惑かけなくても済む…。」

彼女 「迷惑しかかけられた覚えないけれど?で、晩ご飯何にする?」

つ、強い! そして優しい!
事実は小説より奇なりと言いますか……人生いろいろですね。読み応えのあるエッセイでしょう。

 

あたし元キャバ嬢、幸せってなんっすか?

あたし元キャバ嬢、幸せってなんっすか?(多田野ひかる) - カクヨム
キャバ嬢をやめたら、何もなくなった。生きていくってこんなに大変なの?

60,529文字

キャバ嬢を辞め、昼職の一般人になった筆者の生活&結婚エッセイ。「キャバ譲時代の話」ではなく、辞めた後の収入減・社会からの視線などを中心に書いていて、筆者さまが言う通り珍しい視点で面白い。

No.1だったそうですが、割と納得できます。人間としての芯の強さとユーモアのセンスが感じられるというか。

 

本を買いに行きました

本を買いに行きました(美木間) - カクヨム
本を買いに行きました 本のある場所あれこれと 街を歩いてみませんか

45,926文字

書店ではない、記念館の販売所などのちょっと変わった場所に本を買いに行く紀行文。筆者さまは明治~昭和初期のいわゆる「文豪」に造詣が深い様子。リズムが良く気品がある文章がすばらしい。

また、ホラー・オカルト好きでもあるらしく、現実の風景描写の中に作者さまの脳内風景が差し込まれている。

 

SMって……知ってる? ~超々ひっそり裏日記~

SMって……知ってる? ~超々ひっそり裏日記~((NEO) - カクヨム
真面目なSMの世界へどうぞ……

44,271文字

本当の意味でM=性的マゾヒストな筆者が、SM業界について書く。非常に詳しくディープな内容で読み応えばっちり。しかし、表現自体はサラッとしていて一般人でも読みやすい。

ネタバレありの感想

その中で、これはという人に出会ったら、パートナーというか「奴隷」になってみましょう。きっと、今までなかった何かを得られると思います。徹底的に自分を叩き落として下さい。クソウジ虫のブタ野郎程度ならまだ甘いですな。本心から「なんで、生きてるの?」程度までいかないと。

しかし、そこまで引き出してくれる相手は、なかなか会えません。簡単に会えるわけがないです。そこらにいたらつまらんです。ゆえに、SMジプシー生活が始まります。大変なんですよ。本当に。SMは一人では成り立たないので。

う~む、筆者さまは「鞭ソムリエ」とか「サディストクラッシャー」などの異名をお持ちとのこと。さすがに迫力のある内容です。

色々と特殊エピソードが出てきて驚いてしまう。すごい人たちがいるものですねぇ。事実は小説より奇なりというか、一般的なフィクションに出てくる「変態キャラ」よりも、よっぽどディープだったり。

確かにSとかMとか、使われすぎちゃって本当の意味が分かりにくくなってますもんねぇ。
なかなか知ることのできない世界を見学できるのは楽しいし、知識を増やして誤解と偏見を減らすことにもつながる。興味を引かれた人は読む価値ありですよ!

 

私の日常

私の日常(パクリ田盗作) - カクヨム
作者が遭遇した印象に残る日常

43,597文字

筆者が出会った面白エピソード集。愉快な人が多数登場。1話1話が短く非常にテンポがいい。

 

今日も楽しくネッコー浴♪

42,452文字

散歩中に出会った野良ネコたちの写真エッセイ。 可愛く撮れてて、猫好きとしては癒されすぎてやばい!

 

東大生が1日を50円で売ってみたら

お探しのページは移動または削除されました - カクヨム

41,052文字

タイトル通り、現役東大生の筆者さんが50円で色々な依頼を受けた体験記。めちゃめちゃ面白い。現在はtwitterやブログで更新していて、カクヨムでの連載は止まっているようで残念。しかし、カクヨムにある部分だけでも読む価値あり!

書籍版の情報をAmazon.co.jpで見てみる

 

実録。ぼくはこうしてソシャゲを潰した。

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40,925文字

スマホのソシャゲではなく、パソコンで遊オンラインゲームの話。中の人が書くカオスと失敗。裏側はこんなことになってるんですね……上層部の混乱で現場が死にかける。面白いんだけど笑えないというか。

きっとソシャゲでも大して違いは無いんでしょう。なんだかなぁ。

 

ファーマーズハイ!

お探しのページは移動または削除されました - カクヨム

40,847文字

ブランドトマトを専門に直売所を経営する、とある夫婦が織りなす日常。笑えるネタを詰め込んだ軽快な文章が楽しい。しかし、規格外品の発生・作業の忙しさなど現実の厳しい部分も書かれていて農業の世界を知ることもできる。

私の兄の名言集。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880675645

27,232文字

お兄様と妹(=作者)さんの会話集。ほとんど実話だそうです。すばらしいセンス。読み始めると止まらない。

 

行く末は空もひとつの 〜関西人のアメリカ暮らし〜

行く末は空もひとつの〜関西人のアメリカ暮らし〜(由海(ゆうみ)) - カクヨム
アメリカ南部に暮らしてみたら、ツッコミどころが満載だった

25,881文字

突然、夫の転勤でアメリカ合衆国バージニア州に移住することになった関西人の著者。日本人が感じた風習文化の違いなどなど。2人の生活をユーモアたっぷりに書いている。

 

セクマイ日記。

セクマイ日記。(羽純燈伽) - カクヨム
恋愛にはセックスは必要ですか?

19,153文字

ノンセクシュアル」(通称ノンセク)である筆者が自分や他のセクシュアルマイノリティ(性的少数派)の考えや悩みをつづる。

読みやすくテンポの良い文章。しかし、内容的には苦労話や周囲の無理解を書いている本格的な内容。面白い、という表現は失礼かもしれませんが面白い。読めばきっと価値観が広がりますよ。

ネタバレありの感想

私は異性愛者なので理解できるわけじゃないんですが、やはりセクシュアルマイノリティの方々は苦労がある様子。

恥ずかしながら、私は「ノンセクシュアル」という言葉をこのエッセイを読むまで全く知りませんでした。エッセイ中から引用させていただくと、

ノンセクシュアル=非性愛、通称ノンセクとは。

聞き馴染みのない方も多いと思います。これは他人に恋愛感情を抱くことはあっても、恒久的に他人に性的欲求を持つことがない人たちのことです。

性交渉が怖い、気持ち悪い。
とはまた違い、どうしてそういう感情を他人に抱けるのかがただ単純に理解できないのです。ノンセクの中にも性的欲求を抱く人はいますが、それを他人に向けることはありません。

私は今まで何人かの方とお付き合いしてきましたが付き合っていれば必ず、性交渉を迫られる日が来ます。そのたびに私は彼らをどうしても理解できない恐ろしいものだと感じていました。
この思考が一般的ではないことはわかっています。でもこういう思考を持つ人たちがいるということを少しでも理解してほしいと、切に願っています。

う~ん、色々な人がいるもので。セクシャルマイノリティー=LGBT、というのが日本での一般的な理解じゃないかと思いますが、実際にはLGBTだけじゃないと。
率直な文章が、だからこそ心に響く。

恋愛にはセックスは必要ですか?

↑は、この作品のキャッチコピー。短いながらもいわゆる「普通」から疎外される悩みが伝わってきます。

私も含めてもっと理解ある社会にしていかんとダメですな。

創作論・資料

完結

幻想歴史読本 ~ファンタジーを考える~

262,371文字

冒険者・ゴブリン……RPG風ファンタジーの定番要素を深掘り。リアリティや性質などを考察する。

なかなかに本格的な分析で、設定を気にするタイプの人間としては非常に面白い。筆者である「走るツクネ」さまは歴史について幅広い知識をお持ちのようで、そこを参考にした論理展開は説得力があります。

ネタバレありの感想

たとえば冒険者という職業の誕生について

 まとめると冒険者と騎士は仲がとても悪く、微妙なパワーバランスを保っているようです。領主にとっても冒険者という存在は身中の虫となりかねないのが現状でしょう。

冒険者はドイツのようによくある農村社会よりも、商人の自治都市もしくは、南部フランスやイタリアのような漁業や商業を主産業とする都市の方が発展すると考えられます。

領主―騎士―農民は土地を基盤にした関係。しかし冒険者は土地に縛られてないので、自治都市などで誕生するほうが現実的。とっても説得力がありますよね。

この他にも、ゴブリンの社会構造、ファンタジー世界における農業、ハイファンタジーとローファンタジーの違いなどなど……

私が読んできたweb作品の中では1番本格的なファンタジー考察もの。物語のネタになりそうな話がたくさん! リアル地球のヨーロッパ文化にも詳しくなれますし、ファンタジーを書きたい人&ファンタジーが好きな人は必見の内容ですよ。

 

役に立たない歴史雑学

役に立たない歴史雑学(うみ) - カクヨム
ここまで分かりやすいが、実生活に役に立たない歴史雑学は無かった!

162,815文字

ヨーロッパの幅広い分野について1話完結でサクッと紹介。学校の勉強だと退屈だったりするけど、歴史って中々に楽しいものですよ!

中世ファンタジーなんかを書こうと思ってる人には軽めの参考資料としてもいいかも?

 

やっぱり、ファンタジーが好き!

107,993文字

ファンタジー好きの筆者が、ドラゴンなどの定番要素を語ったり「そもそもファンタジーとは?」などと考察したり。ファンタジー好きとしては共感する部分が多く楽しい。

また作者さまが言ってる通り、感想欄にもファンタジー好きのみなさんが濃い意見を書いているのでこちらも必見です。

ネタバレありの感想

ロー・ファンタジーの一つと言われる『エブリディ・マジック』的に、魔法が溢れているのか、コンピュータゲームのような魔法なのか、それとも人知に及ばない遠いところで働いていて、作品のメインテーマになるような魔法なのか。
ひとえに、魔法と言っても、いろいろあります。

『剣と魔法』と名をうった作品であっても、『魔法』の立ち位置は様々。
庶民レベルまで、簡単に魔法を使う作品もあれば、特別に選ばれた人間だけが魔法を使う作品もあります。

魔法の使用条件でも、単純にMPを消費して使うというゲーム的な感じで、個人の能力枠以上の制限は全くないのか、エレメントの存在が必須なのか。もしくは、『マナ』、『神の愛』『薬草などのアイテム』などが必要なのか。
こういった、条件のひとつひとつが、その世界の魔法の位置を決めていきます。

私が、ファンタジーを書いていると言って、一番言われたくないのは、『なんでも魔法で解決できちゃうジャンル』ということ。
実際に話を書いてみると『魔法』が『問題を解決』するための手段という形式はどうしても多いけれど、それだけ、とは思われたくないと思っています。
面白いファンタジーは、魔法が荒唐無稽な夢物語ではなく、リアルに感じられてこそのファンタジーだと思うのです。

分かります分かります。ここら辺、気になっちゃいますよね
ファンタジー好き、設定好きの人はぜひどうぞ。10万文字もあって、たっぷり楽しめます。

 

これがなろう勝利の理由!

これがなろう勝利の理由! 〜昨今のネット小説新参にむけて古参が、なろうが勝者になった理由と歴史を書きなぐる話〜 (こぴーらいたー@風倉) - カクヨム
なろうがなぜ最強投稿サイトになったのか!?その理由を古参が語りまくる!

95,833文字

薄っぺらい知識と思い込みだけで「小説家になろう」と「なろうテンプレ」を語るな! ハーレム、異世界転生、チート……なろうテンプレは二次創作の分野で積み重ねられてきた発明なのだ!

古参である筆者が、web小説界隈の歴史と変化を分かりやすく解説。web小説に興味ある人は読んでおくべき良質な資料。私もだいぶ知識が増えて理解が深まりました。

ネタバレありの感想

こういう話が読みたかった! 筆者である「風倉@こぴーらいたさま」はよくぞ書いてくださった。
もう、目次からドキドキワクワクですよ。

第1話  汝、二次創作の歴史を知らずして、ネット小説の歴史を語るなかれ
第2話  ぼくがかんがえたさいきょうのしゅじんこう〜魔改造主
人公爆誕!
第3話  憑依とかイッちゃってるよ。あいつ(設定的にも)未来に生きてんな
第4話  転生……そして禁断の扉 『オリジナル主人公』爆誕!
第5話  誕生!異世界神様転生チートハーレム
第6話  私の繁殖力は53万です。ですが当時の力は失ってるのでご心配なく
第7話  作品の出来が余りにいいので、原作知らなくても書ける(キリッ
第8話  何故なろうは勝者になったのか!?テンプレは良い文明!ガチャは悪い文明!
第9話  なろうは作家の天国だった!? 投稿サイトが天国であり続けるために大事なこと
第10話補足編 夢小説編前半 歴史の闇に潜んだ真のツワモノたち……その名は『夢小説』!
第11話補足編 夢小説編後半 なろう黄金時代をもたらした、運命の追い風の正体

なろうの歴史の大本!それを結論からいうと『二次創作』です。
なろう(あるいはネット小説)の文化と歴史は、これ抜きでは絶対語れません。

つうかですね。なろうの文化や流行は、声を大にして言いたいんですけど。

『なろうの流行は、なろう独自のものじゃ、全然ない!』

のですよ!
本当、何度も何度も言いたい!

『ネット小説が出来た頃から、似たようなのは大人気!』

なんだっつーの!

『ネット小説投稿所の大手だから、ネット小説の流行の影響受けてるだけ』

ともいえます!

だから別になろう潰れて他のサイト立ち上げたら、
流行が全然別になるかっつーと、そんなことはないと断言できますよ。
そこが『なろうと同じ集客力とルールをもつなら、同じようになる』んじゃないですかね。

『なろうが最大手』になる前は、Arcadia(通称、理想郷)というところが
大手だったんですけど、同じようなのが流行ってましたからね。

やはり今のweb小説の文化と言うのは2次創作から始まったわけです。そこを改めて確認できる貴重な資料。

また、作者さまが言う通り単純に歴史ものとしても面白い。次々に生まれる天才的なアイディア、変わっていく業界事情……
ハーレムものの誕生、魔改造キャラ、オリジナル主人公、憑依、天才……新しいアイディアが次々に飛び出してくる。「なるほど!」「その発想は無かった!」の連続。歴史を知るってのは面白いのです。

テンプレ批判へのカウンターとしてもしっかりしてますね。ちゃんと流れを知った上で批判してるのか? 表面を見ただけで分かった気になってないか?

読みやすくユーモアたっぷりの文章でありながら、非常に勉強になる。web小説・小説家になろうを語りたいなら必読のエッセイです。

 

「ここが変だよ異世界トリップ」

お探しのページは移動または削除されました - カクヨム

29,062文字

テンプレ、作者の手抜き、よく考えてみると謎の展開……異世界転生あるあるに辛口の突っ込みを入れる創作論。私も設定を気にしちゃうタイプなのでめっちゃ同意しちゃいますわ~。

まぁ、フィクションに突っ込みを入れすぎるのも無駄だとは思いますけど。それでも、変な設定には突っ込みたくなりますよね!

面白いと感じたら同じ作者の「ここが変だよ、VRMMO」も合わせてどうぞ。こちらも言われて見ればそうだよなぁ、の連続で参考になります。

 

魅力的な「悪役」について

魅力的な「悪役」について(ベネ・水代) - カクヨム
そんな敵で大丈夫か?

22,525文字

物語のテーマや読後感を左右する重要な存在、「悪役」についての分類と考察。各種悪役と物語の終わり方の関係性。かなり詳しい内容かつ分かりやすい文章、特に物語の製作者なら必見の創作論。私は読んでいて「確かに!」と「なるほど!」を連発しました。

 

一行で書くのを諦めた異世界ファンタジー

一行で書くのを諦めた異世界ファンタジー(卯月) - カクヨム
村から歩いて1時間。異世界に「時間」という単位はあるの?

18,080文字

異世界を考えるのが難しすぎて挫折した作者の設定ノート。異世界って真面目に考えると決めなきゃいけない要素が多すぎてやばい。各種単位、地形、文化風習……設定にこだわる人なら共感しまくりの内容(笑)。

ネタバレありの感想

マリーの村から、領主さまの館まで、歩いて一時間。

そこで、はたと疑問が生じた。
……ここ、異世界だけど、「時間」という単位はあるのか?

これは、単位をジカンと呼ぶかhourと呼ぶか、それとも異世界における独自名称をつけるか、という話ではなく、「この世界に1日を24等分する考え方は存在するか」という問題である。
……いや、その前に。「日」という単位は、あるよね?

そこで閃く。
――1日を24等分すること自体を、諦めればいいんだ!
じゃあ、10で割ろう!
と考えて、再び、はたと疑問が生じた。
地球で10進法が発生した理由は、人類の指が両手で10本だからだろう。

……マリーの指は、本当に10本だろうか?

いや~、分かります分かります。爆笑と共感の嵐。異世界を物理法則・生物進化・文化とかまで考え出すと深みにはまってやばい。
「なんとなくでいいや!」というファンタジー思考だと面白ければ無問題なんですが、SF的なリアリティを求めるとね……作者さまはとても真摯で好感が持てます。

人の創作過程を見学するのはとても楽しい! 世界観・設定を気にするタイプの人間にはたまらない内容です。

連載

 

なろうよりカクヨムのほうがエッセイは充実してる気がしますね。利用者の年齢層が高いから?