男性向けラブコメ・百合17選! (web小説)

かわいいヒロイン! ラブラブいちゃいちゃ!

=特に管理人のお気に入り

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ラブコメ、ハーレム系

完結

恋をしたら死ぬとか、つらたんです 

370,900文字

自称『普通の女の子』であるクレイジーサイコビッチ・藤井ヒナが、VR乙女ゲーの試遊モニターをする話。

ただし、恋すると死ぬ。死んで初めからやり直し。そしてクリアするまでログアウト不可。超恋愛体質なヒナさんが恋しまくって死にまくるギャグストーリー。

すさまじいギャグセンスで面白すぎる……!ぶっ飛んだ設定と、ヒナさんの濃いキャラが癖になる。

ネタバレありの感想

最初から最後までキレッキレで爆笑しっぱなし。
話の中心になっている「恋すると死ぬ」「葬式シーンのある乙女ゲー」というアイディアが天才。色々な、そして普通なら大したことのないシーンでキュン死しまくり、そして残された男キャラが混乱しまくるのが笑えてしょうがない。

「だめだろ、お前方向音痴なんだからさー。
転校初日なんだから、一緒に行こうぜって誘っただろ。
ったく、あんまり俺に世話かけんなよー?」

 

口では厳しいことを言いながら、彼は優しげな笑みを浮かべている。
だが、ヒナはその笑顔を見ることはなかった。

 

その場に崩れ落ち、死んでたからだ。

 

冷たくなった幼なじみはもうなにも語らない。ただの屍だ。
彼女との未来を夢見ていたはずなのに。それは全て壊れてしまった。

不用意に声をかけてしまったばかりに――

 

「え、おい、ヒナ? ヒナ、おい、どうしたんだヒナ、
嘘だろヒナ! ヒナ! ヒナーーーーー!!!」

 

三島優斗の悲痛な絶叫が、学門前にこだましたのであった。

乙女ゲーのはずなのに壮絶すぎる(笑) 攻略対象というより被害者って感じで、読んでると男キャラに同情しちゃいますわ。

そして、主人公のヒナさんも作者からクレイジーサイコビッチと呼ばれるまであってすさまじいキャラの濃さ。
男性だけでなく女性も恋愛対象、というか意識を持ってるなら無生物でもOK! というか惚れやすいってレベルじゃねぇ!

「中学三年間では、誰ともつき合わなかった、かな」
「ほらー、もー。
変な雑誌とかで聞きかじった知識はやめてよね。
あたし、そんなに軽くないし」
「うん、ごめんね。
でもわたし、小学生二年生までに、400人ぐらいとつき合ったよ」
「え?」

ぽかん、と。
凛子は口を開けていた。

「わたしもひとりひとり本気だったよ。
期間は短かった……かもしれないけど」

その彼女に気づかず、語るヒナ。

「みんなと真剣に結婚したかったけど、でも子供だったからダメだったんだ。
法律とか条例もあったし。
当時は押さえがきかなかったから、二股が悪いことだとわからなくて、
最高三十股ぐらいして、分単位でデートの約束とかしていたんだよね」
「……8才で?」
「バレンタインデーはすっごく大変だったなあ。
貯めてたお年玉も全部使って、チョコレート500個ぐらい作っちゃったんだ」
「……業者?」
「ううん、ただの小学生だったけど……」

ええ……(ドン引き) こいつはタダのビッチじゃねぇ! クレイジーなサイコ野郎だぁ!
そして、恋愛に役立つかも! という動機でありとあらゆる技能を習得し、特殊部隊ネイビーシールズすらも余裕で撃退できる超絶の戦闘能力を持つ!
ハイテンションな怒涛のギャグ、濃すぎるヒナさんのキャラ。全編センスのかたまり! 読めば分かります!

 

猫とワルツを

233,747文字

傭兵上がりの副長が4人のヤンデレに奪い合われる! お互いを殺し合うのも辞さない本格的なヤンデレが魅力。生ぬるいハーレムとは一味違う! その分だけ、かなりの暴力的&精神不安定ヒロインなのでちょっと読む人は選ぶかも。

また、キャラの名前を強く打ち出す文体にも個性があって良い感じ。

ネタバレありの感想

「そうかそうか。わかった。ボクはもう、おまえを殴らない。誓う。これでいいか?」
「は、はははい」

駄目だ……びびっちまって……。声が、震える。
打って変わって、アキラは喜色満面の笑顔だ。答えを見つけて、すっきりしたと言わんばかりだ。

「どうした? まだ動きが固いぞ? ははあ、信じられないんだな? わかった! ボクの指をやろう!」

言って、アキラはナイフを抜き出すと、左の親指に宛てがった。

これは病んでますね……序盤から修羅場まみれ。

また、地の文も独特で印象に残ります。

自身が『小鳥』と呼んだ男の手によって、ジークリンデ・フォン・アスペルマイヤーの『最強』の自負心は潰え去ろうとしている。
己が最強であることを疑うことはなかった。だがそれはもう、過去の思い出になりつつある。

このようにジークリンデ・フォン・アスペルマイヤーと、フルネームでの表記が繰り返されるんですよね。これがリズムを良くしている。
ジークの『最強』の自負は~、ジークリンデの『最強』の自負は~、と書いても意味は通じるんだけどあえてのフルネーム。あまり他の作品では見たことないです。

文体に個性がある作品はすばらしい。キャラとかストーリーが個性的な物語はたくさん存在しますが、文体・文章が特徴的ってのは少ないもの。小説というのは文章作品なんだから、文章そのものに個性があるのは好印象。

キャラの話をすると、4人の中で私の一押しはジークさんでしょうか。強くて誇り高い狼の獣人だけど……第4話の幼児退行モードが好みすぎます。

あとイザベラさん、チョロいのにめっちゃ重くて笑う。

やや描写・説明が不十分なところが多く、バトルものとして見るとちょっと物足りません。戦闘シーンそのものはすごく迫力あるんですけどね。
しかし、ヤンデレものとしては4人のヒロイン全員がとても良いキャラ立ちで満足感たっぷり。

 

39歳バツイチ子持ちだが、まわりの女に煽られる。

39歳バツイチ子持ちだが、まわりの女に煽られる。(崎ちよ) - カクヨム
翻弄され、取り乱しても、前に進む、そんなダメお父さんの物語

175,958文字 (なろう版

帝国陸軍大尉、野中博三。39歳。バツイチ子持ち親権なし。今でも20年前の戦争のトラウマを引きずっている。そんな彼のもとに離婚して別れ離れになっていた娘が突然転がり込んできた! それだけでなく差出人不明のラブレターが届いたり、部下のカミングアウトがあったり……!?

少しズレた時間軸の日本を舞台にした人間ドラマ。ざっくりした方向性だけで言えば、いわゆる「勘違い&鈍感ハーレムもの」だけど、主人公の年齢と過去によって「鈍感」の理由が肉付けされていて納得感がある。

というか作者さまの設定では「ラブコメ」なんだけど、個人的にはラブコメと表現するには展開が重すぎる……(笑) 特に、終盤の戦争再開パートに入ってからの流れはラブコメの空気じゃない。だからこそ、青春ラブコメとは違う魅力が出てるんだけども。(なろう版では途中の第0章がありません)

ネタバレありの感想

まぐろの水揚げを見たとき唐突にフラッシュバックを起こし昏倒した。
それが始まり。
それから症状は悪化して、鬱状態になり、入院、休職を繰り返した。そんな中、離婚して妻と一人娘とも離ればなれになってしまった。
自立心の高い女性だった。
実家に帰り家業を継ぐ必要がある。だから、食べていけるから援助も必要ない。
そう言う彼女に対し、情けなく、そしてどうしようもなく、気遣いを感謝しつつ別れを受け入れることにした。

戦争のトラウマから家庭崩壊した子持ちの39歳とか、ほいほいと女性の好意を受け入れる気にはなりませんわな。

ヒロインとなる女性たちも、みんな一癖あります。量産型って感じは全然しないですね~。私はエニシさんがお気に入り。良い味出してますよ。
おっさんのくせにモテモテでうらやましい……? いや、モテモテなのはうらやましいんだけど、それ以外の部分がね。

ストーリーの流れは重く、戦場の描写にも迫力があり悲惨な状況と苦しい心情が伝わってきます。

おめおめ生き残った私にも、その勲章ひとつで救われるものがあるのかもしれない。

あの場所でいっしょに駆けずり回り、必死に生きようとして死んでしまった部下たち。

美化するわけじゃない。

あの無慈悲な鉄と血の戦場で、誰が死んでもおかしくない、誰が生き残るかわからない。

生き残った者は、生き残った責任を果たすだけ。

……いや~、これはラブコメに出てくる文章じゃないでしょう(笑)

やや分類に困る作風ではある。重い空気のハーレムもの、なかなかに個性的な物語です。

 

四億円当てた勇者ロトと俺は友達になってる

153,637文字

ネトゲの友人が宝くじで4億円当てたらしい。相談を受けて訪ねてみると、おっさんアバターの中身は引きこもり美少女だった! そのまま金銭管理を任されて永久就職の同棲生活が開始。六畳一間、ポンコツ倹約スローライフ。

ヒロインの「ろと」がすっごくかわいい。子供っぽくて生活能力皆無。主人公のポジションは、相棒兼ヒモ兼執事兼ママ兼飼い主。ラブコメとしてはベッタベタに甘いけどいわゆる恋愛シーンはほぼなし。全体を通してゆる~い雰囲気。

老後まで心配の要らない貯金・仲良しの美少女・頼りになる仲間……何というか「幸せ」の具体化って感じの物語。

ネタバレありの感想

台所に立つ俺の手元を、ろとのやつが、じーっと、見ている。

「座ってろ」

俺は言った。
注視されていると、なんか、やりにくいったら、ありゃしない。

「うー……、見てちゃ、だめ?」
「まあ……、べつに、いいけど」

俺は料理をつづけた。
キャベツを切る。ざくざくと切る。

「すごいねー、すごいねー、すごいねー」

ろとは言う。だが主語を言え。
なにがすごいのか。ぜんぜんわかんねえんだよ。

「すごい、すごいすごーい、……はわわー」

あーもー、くすぐったいったら、ありゃしねえ!

「なにが凄いっていうんだよ。こんなん……、べつに普通だろ」

ああ。言ってしまった。
リアクションしたら負けだと思ってた。だから無視していたわけだが、そろそす限界だ。

「キャベツの千切りって……、キャベツからできるんだねー」

そこかよ!
俺はがくりとなった。

「あのねあのね! ケーキがあるとね! クリスマスな感じなってね! ごちそーいっぱいでね! とれぼーとふたりで、しあわせになれるの!」

ろとは頑張ってプレゼンする。
両手も使って体中で表現する。
だが俺は、まだイエスとは言わない。

「どう、しあわせなのか、そこが足りないな」

冷静にダメ出し。

「みんな! ――みんなやってるの! ごちそーいっぱいなの! みんなとおんなじなの!」
「みんなと同じが、しあわせとは限らないぞ」

論理的矛盾点を、ただ本人に投げ返す。問答の壁役に徹する。

「ぼく……。ぼく……。ずっとひとりだったから……。クリスマスがきても、お祝いとかできなくて、ひとりだと、クリスマス、やっちゃいけないんだよ? しってた? ……でも、こんどのクリスマスは、とれぼーと一緒だから、できるんだよ? ……だからこれは、必要なものなの!」

ろとは目を閉じて大声でプレゼン。自分の中で確信に至ったもよう。

「ごちそういっぱいか……。じゃあ、ほかにもごちそうがいるな。トリしゃんとか。シャンパンしゃんとか」
「え……? いいのっ?」

頭を撫でられている、ろとは、涙をはらんだ目で、俺を見上げる。

「いいもなにも。必要なんだろ?」

俺の目的は、ろとにいじわるをすることではなくて、ろとが自分で答えを見つけること。
まあ……。たしかに……。なんだ……。説得力はあったな。ほろりときたな。

ろとさん、かわいい! キュート! 癒し系!
しかし、この性格で20歳越えってんだから、冷静に考えると相当な社会不適応っぷりですなぁ。セリフだけ見てると10歳に見えるレベルだし。

そして、社会常識が無さすぎて恋愛に関する知識もゼロっぽくて、そういう空気にならない! 本編最後まで恋人というより友達兼保護者。これも好みの雰囲気です。

美少女と家に引きこもって、こたつの中でひたすらにネトゲ。理想の生活では?
あと、家の強制退去・ネトゲの終了、この2つの話も印象的。主人公たちには金はあるんですよ。だから生活としては何も困らない。でも「自分たちの世界」「今までの思い出が詰まった場所」から追いだされてしまうのが悲しい。新しい生き方をしないといけないのが怖い。分かりますわ~。

そしてメイン2人以外のキャラも良い味してます。個人的にゾーマさんすごい好き。
古いイメージのオタクっぽくしゃべるんだけど、めっちゃ有能で頼りになりまくるおじさん。そして鍋奉行。

「ささ。ロト殿。トレボー殿。このあたりがいい煮え加減となっておりますぞ」

殿・~ますぞ、とか小説の中でさえ久しぶりに見ましたよ(笑)
こんなにユーモアたっぷりで、いざとなったら華麗に助けてくれる人生の先輩とか理想の存在すぎる……むしろ美少女の恋人よりゾーマさんが欲しい。

個人的には異世界転生して勇者になるより、こういう生活がしたい。しみじみと主人公がうらやましい作品です。


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売れないままの君でいて♪

お探しのページは移動または削除されました - カクヨム

130,384文字  (小説家になろう版

主人公は隠れオタクにしてマイナー好き。つまり「自分の応援している作品には必要以上には売れないで欲しい」と思っている。そんなある日、クラスメイトの女子と書店で遭遇。どうやら彼女もマイナー好きのようで……? めんどくさい奴らのこじらせラブコメディ!

複雑なファン心理をメインテーマにしているのが面白い。2人のマイナー論、私もかなり分かっちゃいますなぁ。さらに、それを自然な流れでラブコメ展開につなげているのも上手い。そうきたか! って感じ。終盤の男気ある主人公の行動もグッときますね。

ネタバレありの感想

もし、『ロゼリウス戦記』がアニメ化するほどに売れていなければ。
ごくそこそこ、打ち切りにならない程度の売上のみをキープし、俺のような根っからのファンだけから支持され、細々とシリーズが続いてくれていれば……

そうだったとしたら、ひょっとすると、あんな悲劇は起こらなかったのではないか。
アンチなど湧かず、オワコン扱いされることもなく、心から作品を愛する人々だけによって、『ロゼリウス戦記』を取り巻く環境は、今も穏やかであり続けたのではあるまいか――……

「……そうやって、人気取りを優先していく――すると、作品はどんどん最大公約数的で、大衆迎合的なものになっていくのよ。一番最初に作品に託されていたはずの心、真っ直ぐで混じり気なかったはずの想いが、やがては濁り、穢(けが)れてしまう」

「だから、人気が出たら純粋じゃなくなると?」

「私は、自分が好きになったものには、歪んで欲しくないの。私がそれを好きであるのと同じように、その作品自体にも――作り手の、それがただひたすら好きだから手掛けているんだっていう、見返りを求めない、愚直な心が込められていて欲しい。そのためにも、売れて欲しくなんかないのよ」

ううむ、ほんと共感できてしまう。「平穏」と「純粋さ」という2つの視点から「売れない方がいいんじゃね?」というマイナー論が展開されるんですが……作者さまは実にファン心理を理解してます。マジで分かりすぎる。

そして、ヒロインの「早瀬」さんが、かなり面倒くさいんですよね(笑) もうプロローグからいきなり重くて面倒くさい。初めてキスした相手とそのまま結婚するつもりだと……!? キャラが立ってて掴みから興味を引かれます。

そして、途中でこじらせてる原因が発覚するんだけど……これも分かりすぎてつらい。めちゃめちゃで破綻してる理論展開なんだけど、あるあるなんですよね~。自分が評価されないのは社会が悪いからだ! それを証明する! 実際、こういう人いるすわ……悪いとこ探しに走っちゃう人が。

そして、彼女に心を開いてもらうために主人公は頑張る。公開告白とか、フィクションの中でも珍しくなった気ような。というかお前、そんなハイスペックだったのかよぉ!? そら早瀬さんもショック受けるわ……(笑)
心理描写が丁寧な、リアリティのある作品です。

 

小桜さんは義理堅い

108,103文字

小さな女の子を交通事故から守るために、大けがした主人公。入院していると女の子の姉「小桜さん」がお礼にやってきた。無口で微妙に天然な彼女は何度も義理固く見舞いにきてくれて、2人の距離は徐々に縮まっていく。

セリフではなく擬音で描写される小桜さんがとても魅力的。キャラ設定にセンスが光ってますね。ホラー小説好きの、だて眼鏡女子! 青春ラブコメでありながら学校の外が舞台となるのも新鮮。序盤は病院、中盤からは通学路・それぞれの家など。全体を通してテンポ良くサクサク進んでいくし、章分けがはっきりしていて読みやすい。

ネタバレありの感想

今日も高校が終わってから一直線に来たと分かる時間に、また来てくれました。

チラッ (こちらを見ている)

「あの、小桜さん。昨日はすみませんでした。だから入ってきてくれませんか?」

朝からスタート中の小説消化が4冊目になった所で、病室の扉がちょっとだけ開き、だけど誰も入ってこないので風かな?と読書を再開しようとしたら、ぴょこっと小桜さんの顔が扉の隙間から半分だけ出てきて、こちらを覗き込んでいる。

じーーー(様子をうかがっている)

「小桜さん。見ての通り俺は動けないので、何もできませんから」

この雰囲気、いいですね! ミステリアス小動物系無口ボケキャラ? かわいい!
話が進んで仲良くなってからも、ほぼしゃべらないんです。これが好き。かなりの筋金入り。無口系キャラのセリフが増えると、印象が変わっちゃいますし。フィクション的には首尾一貫しててナイス。作者さまのこだわりを感じます。

小桜さんの家庭事情はちょっと複雑で、その部分で少しだけシリアス要素があり。割とガチに重い。3章のおでかけ編とかも割とウルっと来ちゃいました。しかし、それによって幸せパートの甘さが引き立っている。
青春ラブコメとして個性のある作品です。

 

文明崩壊後の世界を女の子をバイクの後ろに乗せて旅している

文明崩壊後の世界を女の子をバイクの後ろに乗せて旅している(新木伸) - カクヨム
青い空。人のいない世界。バイクの後ろに女の子を乗せて、どこまでも。

100,893文字

突然、ほとんどの人が消えた世界。少女を乗せて少年はバイクで旅をする。まだまだたっぷり残っている物資を利用しつつ、ゆるゆるサバイバルツーリング。

まったりした雰囲気で安心して読める作風。舞台設定的にはポストアポカリプスだけど、内容は少年少女の日常がメイン。SFよりラブコメに分類したほうが適切そう。ただし内容的に露骨な性描写が多いので明らかに男性向きの作品。

ネタバレありの感想

いきなり人口激減からの文明終了、事件としては超大惨事のはず。しかし登場人物たちはそれを明るく受け流しているのが特徴。

作風を分かりやすく示しているのが序盤から出てきている「いい人仮説」だと思います。読んだときは割と衝撃を受けました。

~~~

〝いい人仮説〟――と、そう呼んだのは、いったい誰だったか……。

「あれ」が起きてから、しばらくが経って――。

まだ電気とネットが生きていた頃。ネットのあちこちに、わずかに書きこみをしていた人たちのあいだで生まれた仮説だ。

(中略)

もしも、その仮説が正しいのだとしたら、いま、この世界にいる人たちは、みな、「いい人」ばかりだということになる。

~~~

この世界にはいい人しかいない! 強烈な設定では。一般的なポストアポカリプスものって人間同士の戦いも重要になるんですよ。

崩壊した文明、限りある物資、それをめぐって争う人間たち。出会った相手は敵か味方か……?

こういうのがポスアポの雰囲気。

しかし、この作品では最初に「この作品にはいい人しか出ません! 主人公たちも途中で出会うキャラもみんな善良!」と作者さまが宣言しちゃってるわけ。めちゃめちゃ安心できますよね(笑) シリアス路線はなし、ゆるゆる展開で行きますというメッセージ。

ポスアポの野蛮な部分を投げ捨てて、退廃的な美しい情景だけを利用している。排ガスの減った青空の下、美少女を乗せて無人になった街をバイクで走る。ロマンでしょう。

また 道路はどんどん崩壊中。バイク旅ができるのも数年の間だけだろう。 みたいな描写がでてきてポスアポらしい郷愁が出ているのも良い味付け。

あと二組のカップルが登場するんだけど、その片方が速攻でやっちゃうのがいい(笑) おかげでもう片方の天然ピュアっぷりが際立ちます。対比が効いている。

~~~

畳の和室。

そこに敷かれた一組の布団。

ひさしぶりの布団の上で、俺はナナとセックスをしていた。

布団の上という、あたりまえの場所で、ナナと普通にすることは、はじめてのことで――。

いつもと違う慣れない感じに、いつもより早く、終わってしまった。

「早かったねー」

ぽんぽん、と背中を叩かれる。

くっそー。

~~~

意識はするけど手を出さないピュアピュアな旅も、やりまくっちまうエロエロな旅も両方とも男のロマンですよねぇ。

個性的なラブコメを読みたい方におすすめな作品。

 

英雄と魔女の青春方程式

お探しのページは移動または削除されました - カクヨム

100,752文字

高校二年生の主人公には秘密があった。それは別世界の英雄だった記憶を持っていること。しかし、力は失い平凡に暮らしている。そんなある日、クラスに転入生がやってきた。黒髪ロングの清楚系美少女、彼女の正体は前世で対立していた魔女の生まれ変わり!

出版経験のある作者さまで、ギャグがとても面白い。さすがに切れ味がすごい! 笑いだけでなくシリアスパートもあり2人は前世の呪いに苦しんでいる状況。そんな英雄と魔女が救われる部分は読んでいてもホッとしますね。よかったよかった。

ネタバレありの感想

記憶が蘇った直後には何か使えないか試してみたが、何の反応も返ってこなかった。これほど虚しいことはない。
夜の公園で「聖なる剣よ、我が手の中に!」と叫んで何も起きなかった黒歴史がグサグサと心にダメージを与えてくる。
まあ結局、前世の記憶が蘇ったぐらいでは何も変わりはしなかったということだ。
前世の力が扱えるなら話は別だったが、そういうわけでもない。
だから俺の日常には何ら変化はなかった。
せいぜい「ちょっと大人っぽくなった?」とか女子に聞かれたぐらいだ。
嬉しい。
ついでに運動神経が今までよりも向上し、女子に「スポーツ、得意なんだね!」と笑顔で褒められたぐらいだ。
めっちゃ嬉しい。

う~ん、テンポの良い文章! 言葉にしづらいけどギャグにも間違いなく上手い下手ってあるんですよね。そして、この作者さまは上手い。キレッキレ。読み終わるまでにかなりの回数笑ってしまいました。

しかし楽しいだけでなく重い部分もあり。

「今のあなたは英雄じゃない。だから過去に囚われる理由なんてない」
「そんなことは分かっている」
「でも現に囚われている。せっかく生まれ変わったというのに、意識はまだ呪いに縛られている。……そんな必要なんてないのよ、あなたはもう、あなたの幸せのために生きていいはずなのに。他者の救済だけに全霊を尽くす理由なんて何もないはずなのに」
「……これが」
「これが俺の幸せだ、とでも言うつもり? でも私には、どうしてもそうだとは思えない。前世のあなたを知っている私には」

前世の記憶に引きずられ自分犠牲に迷いがない。ただの一般人として幸せになってはダメだと思い込んでいた。でも、前世を知らない人から見れば中二病が治ったぐらいにしか見えない気も……(笑) そう考えるとシュール。

笑いとシリアスのバランスがとても良い作品です。

 

地球は既に侵略されている

68,096文字 (カクヨム版

引きこもり生活を続けていた主人公が久しぶりに登校してみると、とあるクラスメイトの様子が変である。主人公が「お前、実は宇宙人だろ?」とからかってみると、彼女は本当に宇宙人だった!?

ざっくり分類してしまえばハーレム系のラブコメなんだろうけど、シリアス・アクション要素も強め。変化球が読みたい人におすすめです。ヒロインとなる宇宙人も触手型の寄生生物だし。6万8000字と短めな文章量のなかで密度が濃い!

ネタバレありの感想

~~~

それはまさしく、この世のものとは思えないものだった。
グロテスクで滑りがあり、時折沸騰した水のようにボコボコと形状を歪ませている。
紫を基調に、太陽の光に反射して青くなったり白くなったりする形容し難い色には、どうしようもなく生理的嫌悪を覚えてしまう。
触手は何本も折り重なり、それらは一つの羽根のように、彼女の背中で蠢いていた。

~~~

人型美少女の「○○星人」じゃなくて、異形の「エイリアン」って感じでインパクト抜群。話の続きが気になる展開でしょう。

そして、主人公もなかなかの曲者。

~~~

「フッ。いい機会だから異文化交流の一環として教えてやろう。いいか? この世の人間共は、自分たちが作った常識という価値観に支配されている。故に俺やお前のような異物は排除したくて仕方がないのさ」
「排除されるのは困る」
「だろうな。だから奴らと仲良くやりたけりゃ、常識を覚えることだ。皆と同じことをして、同じ価値観を持って、誰かが言った意見に全力で同意しとけばいいんだよ。それが生き残るコツだ。凡人はな」
「オマエは凡人ではないのか?」

俺は思わず笑った。
ちょっとは見所のある奴かと思ったが、俺の才能を見抜けないようではまだまだだ。

「当たり前だろ。俺は従順なサラリーマンを量産する、学校という下らない装置に早々と見切りをつけた男だぞ。凡人共が、社会じゃまったく使わない知識を詰め込むことに夢中になってる間、俺は黙々とネットの片隅で知名度を貯め続けた。結果、今ではSNSフォロワー五万人を超える大人気アフィリエイターだ。これがどういうことかというと──」
「話が長い」

俺の高説は宇宙人に一蹴された。

~~~

宇宙人との衝撃的ファーストコンタクトなのにこの態度(笑) ただの口だけじゃなく、ネット上では人気者なのが個性的。自分が引きこもりのくせにネット上ではドヤ顔で人生相談を受け付けていたりもして良い味してます。

そして本作の軸になってくるのが、引きこもりと宇宙人との共通点。両方とも人間社会の常識に適応できていない。生きづらさと孤独を感じている。宇宙人の話かと思っていたら、主人公の話であり、読者自身にも当てはまるかもしれない。一気に共感してしまうというか、引き込まれます。ここら辺の書き方が上手い。

ストーリー展開だけでなく、中盤以降のアクションシーンも迫力満点。うねうねとした触手が暴れまわる、物を壊す。文章力があって頭の中で絵になりますね~。

アクション・シリアス・ラブコメ・主人公の成長、とおもしろい要素が盛りだくさん。テンポ良くぐいぐい読み進めてしまう作品です。

あと、個人的には最後の締め方も好き。嘘知識がバレて炎上(笑) かなり笑っちゃいました。

連載

俺んちに来た女騎士と田舎暮らしすることになった件

532,448文字

ある日のこと、全身甲冑のコスプレ姿をした傷だらけの金髪の美人がやってきて……? 逆向きの異世界転移。

作者さまは実際に農業の経験があるらしく、かなりガチの農家ライフが展開されます。美化されたゆるゆる田舎暮らしじゃなく、生活のかかった商品生産。ファンタジー:恋愛:農業=3:3:4、ぐらい。ファンタジーより日本の農業がメインな勢い。

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屋上は今日も閉鎖されている 〜ハーレムを作ろうと言われたら〜

292,400文字 (カクヨム版

「ハーレムを作ろう!」クラスメイトの女子から言われた、飛んでもないセリフ。非現実的だとは思いながらも、主人公はその提案を受けることに。主人公とメインヒロイン(?)が自分から積極的かつ地味にハーレムを作ろうと動き回る物語。

そして、屋上は封鎖されているし、風紀委員なんて無いし、謎めいた転校生は出てこない。ラブコメで出てくる謎の「学園」ではなく、普通の高校が舞台。家に戻れば当たり前だが親もいる。

ストーリーも設定も、ラブコメのテンプレを理解したうえで突っ込みを入れていて面白い。ラノベだから個性的なキャラクターが出てくるけど、1人1人の人間描写はリアル。作者さまの感性にめっちゃ共感しますわ~。

 

ひげを剃る。そして女子高生を拾う

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。(しめさば) - カクヨム
ただ、隣にいるだけ。

143,522文字

大手IT企業に勤める「吉田」は、入社以来想いを寄せ続けた先輩「後藤」にフられてしまう。後先考えずにヤケ酒をした帰り道、電柱の下でうずくまっていた家出女子高生を見つけて……?

現代ハーレム恋愛もの。吉田さん、確かに重いけど真面目で良い男です。好きな人は好きでしょうねぇ、モテるのも分かる。あと地味にめっちゃ稼ぎ多いよね? 急に2人で暮らすことになったら、普通は家計がやばいような。

恋愛ものだけど「ラブコメ」にしては重い設定・展開があるので注意。コメディではない気も? あと、個人的な意見だけど後藤さんはかなりの地雷案件に見える……(笑)

 

ヒモになりたい俺は、ヤンデレに飼われることにした

119,816文字

大人になっても働きたくないなら、将来有望なヤンデレに監禁されればよくね? だがしかし、主人公「桐谷彰」を愛するヤンデレは複数いた。ヒモになる前に修羅場で死んでしまっては意味がない、主人公はヤンデレたちをコントロールしきれるか!?

ヒロインたち全員が重度のヤンデレ。展開はやや分かりづらい所があるが、1つ1つの場面はキレッキレで大爆笑してしまう。インパクトのあるボケ突っ込みが多すぎる……作者のギャグセンスがすごい。

私は衣笠由羅さんがお気に入りでしょうか……パワーワードを生み出しすぎ。

百合

ガールズラブ。これもたぶん男向け。

完結

ネットでググりながらセックスするJKカップルの話

ネットでググりながらセックスするJKカップルの話(nns) - カクヨム
1話読んでくすりとも来なかったら続き読まなくていいです

122,184文字

女子高生百合カップルの日常。行為によって問題が起きたり起こらなかったり!? ギャグの密度が濃く、テンポもすごく良い。どんどん読み進んでしまう完成度。

また、行為シーンがあるのでエロ系ギャグに厚みが出ている。ただの会話で終わらない、実際にキャラの行動があるからこその笑いがある。ハイテンションな文章のまま、主人公がいろいろやらかしてるのを見るのは何ともおもしろい。

ネタバレありの感想

そして現在は放課後。今をときめく放課後です。意味がわかりませんね、勝手にときめいたりきらめいたりしてろ。

私がそのように評したのは、隣に長谷川がいるからです。ちっちゃいしおっぱい大きいし可愛い、要するに最強なんですよね。前に小さくて可愛いと言ったときは、お前がデカすぎるだけだなんて言われましたが。私は私なんですから私から見て小さければそれで良くないですか? 小さいと言われることにそこまでムキになるところも可愛いなぁって思います。

このテンションの高さ! 見事。

本作って、全9話で12万字あるんですよ。つまり1話1万字以上! これはweb小説としてはめちゃめちゃ長い部類。でもサクサクと読めてしまう。読んでると笑いっぱなしで長さが気にならない。すばらしい文章力。

怒涛の勢いで連打される主人公から彼女へのラブラブっぷりがすばらしい。ニヤニヤしちゃいますね~。でも、後半を見るにつけ長谷川の脳内もかなりバラ色っぽくて、ますますニヤニヤ。嫉妬してる恋人ってのもラブコメの黄金萌えパターン。

そして、本作の強い個性となるのがタイトル通り性行為シーンがあること。一般向けweb小説としてはギリギリの描写では。といってもエロさよりも笑い重視。文章も軽いまま。

「えーと、挿入前に、丹念にほぐしましょう、だってさ」

丹念にほぐす? 今まで散々色んな行程をスキップしてきた私達に、”丹念に”何かをやり遂げることが出来るとでも思っているのか、このサイトは。
そもそも、ローションまみれなのにほぐす必要ってあるんですか?
無いですよね。

「えい」
「いでぇぇー! え!? 抜いて!? 痛い痛い! 石井! やだ!」
「うわーこんな風になってんだー」

実際の行為中を描く、とても挑戦的です。うっかりすると運営から警告喰らうだろうし。
でも、挑戦するからこそ得られる結果がある。
私が特に好きなのは3話。自爆につぐ自爆に大爆笑しました。ゴム無しはやばい(笑) こういうギャグができるのも本番があるからこそ。

ちなみに本作は主人公がかなりの性欲大魔神。ささいなことで発情して、彼女に「やりたいやりたい」と言いまくります。彼女がかわいい! → やりたい 、に直結する中学生男子並みの思考回路に笑いと共感。
これが嫌らしくないのも百合だからこそかも。男女カップルで、男がここまで行為をしたがるとちょっときつい? 生々しすぎるというか。
女子同士だからこそ、主人公がしたがっても爽やかなまま。これは百合作品の強みと言えそう。

ハイテンションで楽しい文章、webだと珍しい本番シーン
百合作品として高い完成度と個性を合わせ持つ作品です。

連載

女勇者のお供は僻み系少女 ―詐欺女と最強魔法少女の愉快な冒険―

109,228文字

美しく自信にあふれた「マーニャ」と、口下手で人見知りの最強魔法使い「フニ。2人の様々な時間を切り取るベタ甘の連作百合短編。フニちゃんかわいい。ベタ甘の連作百合短編。超ラブラブの10歳差カップル、おねロリ! 好きな人にはたまらん雰囲気。

また、1話ごとに時系列と場所が違うのも特徴。勇者としての魔物との闘い、学園時代の甘酸っぱい出会い……ほのぼのだったりアクションだったり話ごとに変化があって飽きにくくて良い。

ネタバレありの感想

突然、隣で寝ていたはずのマーニャが寝袋ごとフニを抱きしめた。分厚い寝袋に遮られてもわかる豊かな胸の感触――そう認識した瞬間、まるでマーニャの胸の触れる部分だけ焼けるように痺れて、ひゃ、とフニは小さな悲鳴を上げてしまった。

「お、お姉さま。そんな急に抱きつかれると、その、びっくりしますから……」
「こうするともっと暖かいじゃない」

マーニャは、部屋の隅っこで静かになって気配を消そうとしているフニを見た。
にっこり笑うと、う゛っ……とフニの顔が蒼くなる。

「ほら。フニ? フニには私が化粧をしてあげる」
「ううっ……い、いいですいらないです。わたし端っこで静かにしてますから……」
「だーめ。フニもたまにはお洒落しましょう? ほらほら、座って座って」

その小ぶりな肩を押して、少女を先ほどまで自分が座っていた椅子に座らせた。三面鏡には目をぎゅっと絞って顔を真っ赤にする少女がいる。

フニちゃん、かわいい! マーニャさん、ステキ! 作者のみつえさまは長く百合ものを読んだり書いたりしているようで、中々にこだわりを感じますね。

でも少しタイトルとあらすじ詐欺なのは注意。フニちゃんは僻み系じゃないし「私はゴミだ……」が口癖でもない。マーニャはすばらしい知識と観察眼を持ち、ぜんぜん口だけじゃない。

そして時系列をバラバラにすることで、最初から説明しすぎることなく自然な形で徐々に設定を公開していけるのは上手い構成。1話進むごとに世界観も広がってくる。はたして魔物とは何か? 人類との共存はできるのか? マーニャの計画とは……? ファンタジーとしてもしっかり作られています。

百合&勇者と魔王のファンタジー、この2つが好きな人には強くおすすめできる1作です。

 

ちなみに女の子同士なんですけど、京都で同棲はじめました。

ちなみに女の子同士なんですけど、京都で同棲はじめました。(かめのまぶた) - カクヨム
京都を舞台に始まる、青春同棲ストーリー!

90,909文字

京都ひとり暮らしを始めた女子高生「寺坂紡」は、同級生のお嬢様「松浦周」に一目惚れしてしまう。しかも、松浦さんは家出する先を探していて同棲することに!? 紡の恋心は秘密だし、周りにバレたら同棲終了、そして生活費はいつもギリギリ!

メイン2人がとってもかわいい。マツウラさんがお嬢様かわいいし、マツウラさんをかわいいと思ってるつむぎが百合乙女かわいい。文章も軽快でギャグセンスがあり、けっこうクスクス笑ってしまいます。

ネタバレありの感想

「ありがとうつむぎ! さすがね」

マツウラさんが褒めてくれるが、たいしたことはしていない。
ただ、マツウラさんが褒めれくれるだけで人生に対するモチベーションがちゃめちゃ上がるので、どんどん褒めてほしい。

マツウラさんは京都タワーを背景にして笑う。

キャリーケースを優雅に引く姿は、完全にバカンスに出かけるお嬢様だ。
なんかマツウラさんって、キャリーケースが似合うよな。最初の印象が強すぎるだけかもしれないけれど。

「じゃ、行きますか」

「おー!」

テンション高いな。かわいい……。

「マツウラさんって新幹線に乗るとき、やっぱいつもグリーン車だったの?」

「グリーン? 普通の白い色の車両だったわよ?」

「いや、車両の色じゃなくて、そういう席の種類っていうか、そういうのがあるらしいんだけど……。あたしもよくは知らないけど」

もしかして本当の金持ちは、グリーン車がどうとかの概念すらないのだろうか……。

「グリーン車かどうかは分からなかったけど、いつもは生バンドがジャズを演奏してくれる車両だったわ」

「絶対にグリーン車ですらないよね、それ」

秘密裏にそんな車両が用意されているのか?

女子高生2人のにぎやかな生活と、百合と、ギャグ。読んでいてすごく楽しい作品。マツウラさんの超お嬢様ながら節約生活にも速攻で慣れる適応力が実にいいキャラしている。

しかし「マツウラさんに恋心を知られてしまうとどうなるのか?」「家出なんて永遠に続けられるわけじゃない」「マツウラさんは家族と関係を修復できるの?」といった未来への不安も繰り返し書かれていて、ハラハラドキドキ。最終的な着地点が気になります。

ユーモア・キャラ設定・ストーリー、全ての要素でクオリティの高い百合物語でしょう。

 

シュークリーム ~あなたに響く百合短編集~

54,333文字

小中高の学生がメインのロリ百合。好きな人にはグッときます。各話のタイトルの付け方がさすが。

 

モテモテ! 美少女ガールズラブ! やっぱ男としてはグッと来ちゃいますね(笑)