web小説では大人気のパターン! つまらない? 見飽きた? でも、すごく便利なんですよ!
というわけで、今回は「異世界転移・転生テンプレのメリット」を考えてみます。多くの作者が使いすぎて批判も多いパターンだけど……そもそも、なんで多くの作者が異世界転移・転生ものを書くのか? それはすごく書きやすいから! たくさんのメリットがあるからでしょう!
まぁ、面白いからこそテンプレ化するわけだし
テンプレ=つまらない、ではなく
テンプレ=面白いけど見飽きた、が正しい
この記事では人気になる理由を見ていきますよ。結論としては「小説を書くのが上手くない一般人でも比較的簡単に面白いファンタジーが書ける」という話でしょう、
①読者の願望を満たしている
主人公が日本人であり感情移入しやすい
異世界転移・転生の特徴は「舞台設定として異世界なのに主人公が日本人であること」でしょう。
そして、これは物語としては大きなメリットです。それは主人公と読者の共通点が多いから。つまり、読者が主人公に感情移入しやすい。ついでに作者とも共通点が増えるから書きやすい。
ファンタジーものを書くとき普通に現地の異世界人を主人公にしてしまうと、まったく別の世界で生きてきた人なので読者との間に壁ができやすいんですよね。ある意味で宇宙人みたいなもんだし。
もちろん、上手くキャラ設定として丁寧に書けば異世界人だったとしても感情移入に問題なし。しかし趣味でノリと勢いで書いている一般人にそんなレベルを要求するのは贅沢すぎます。
主人公を日本人にしてしまうことで作者にとっても読者にとっても分かりやすいキャラにできる。
特別なイベントで新しい自分に!
平凡で退屈な日々。暗くて希望の見えない生活。しかし、あるとき不思議なことが起こる! なんと自分に特別な能力が!? 今までのつまらない生活にさようなら!
こういうのはweb小説以前からの定番パターンですよね。古今東西で人気。漫画とかでも大量にあります。基本ボーイ・ミーツ・ガールもこんな感じだし。
まぁ、人間の願望自体がワンパターン(笑) こんなことが起きたらな~・私も人気ものになりたい~、とフィクションを見て夢想する。
異世界転移・転生はこれの1種。イベント内容の「(死んで)異世界に転移」というのが特異であり注目されるけど、方向性としてはむしろ正統派で王道。
しっかり読者の願望を満たしていると言えます。
②異世界ファンタジーとしても書きやすい
異世界にすることで自由に書ける
・主人公と読者を同じ日本人にすることで感情移入しやすくなる
・新しい自分になりたい読者の願望を満たす
まぁ、この2点だけなら現実の日本を舞台にしても可能。そうすれば当たり前に主人公は日本人だし。現代ファンジーとかにすればいい。
でも現実を舞台にすると上手く話を作るのが難しいんですよ。リアリティを気にしないといけないし、しっかり調べないと「間違ってる!」と言われちゃう。
能力に目覚め、夜な夜な怪人たちと戦い街の平和を守る! とか書いても「親にバレないの?」「死人が出てるみたいだけど警察仕事しろ」「魔法じゃなくても銃を撃つだけで倒せるんじゃ?」などと突っ込まれまくり。
宝くじで10億円当たったので好きに生きる、みたいな話でも「税金の計算間違ってない?」「●●が××円とか安すぎ! ちゃんと調べろ!」とかね
設定も法律も、何もかも作者の自由にできるファンタジー異世界に飛ばすことで物語が自由に作れるようになる! これはすばらしいメリットです。しかも主人公は日本人で感情移入しやすい!
主人公=読者になり設定を説明しやすい
ファンタジーを真剣に書くと苦労するのが「設定をどうやって読者に説明していくか」
その世界に人々なら知ってて当たり前のことって書きにくいんですよね。わざわざ会話に出すのが不自然になっちゃう。でも読者にとっては説明してくれないと困るわけ。
「エンガイア帝国とキクク同盟が戦争を始めたらしい!」
「え、あの2つの国が!? そりゃ世界がとんでもないことになるぞ……」
有名な国らしいからキャラ同士の会話で説明なんて入らない。しかし、読者としては理解不能。
そこで主人公を無知な存在にすると自然に説明を導入できる!
「エンガイア帝国とキクク同盟が戦争を始めたらしい!」
「えっと……それってどんな国ですか? 遠いところから来たので知らなくて」
「なにぃ!? とんだ常識知らずだな。まぁ、軽く紹介してやるとエンガイア帝国ってのは大陸の北に広がり……」
主人公を別世界人にするとファンタジーとしてもすごく書きやすくなる。
また、地球の言葉を説明に使えるのも大きなメリット。5階建てのビル位の大きさ! とか本来なら書けないので。ファンタジー世界にビル無いはずだし。
③知識チートで賢者にもなれる
大抵の異世界転移は中世ヨーロッパ風、魔法はあるけど科学技術などは地球のほうが上という設定。
ここで生まれるのがいわゆる「知識チート」。料理法・火薬の発明など、異世界にない知識情報を使って大活躍!
個人的にこれってすごい話だと思います。特別なイベントで「強さが上がる」作品って昔から多いけど、「(相対的な)賢さが上がる」作品ってあまりないような?
つまり、ヒーローになるだけじゃなく賢者にもなれる! 暴力が嫌いな作者・読者も大丈夫! 地球の知識と話し合いだけで平和的に大人気なれるぞ!
女性向けの異世界転移である「悪役令嬢もの」が流行る理由もここにありそう。戦いによるヒーロー願望以外にも対応できる柔軟さ。
まとめ
・主人公が日本人であり読者が感情移入しやすく、作者にとっても書きやすい
・特別なイベントで新しい自分になりたい! という読者の願望を満たしている
・異世界にすることで自由に書ける
・ファンタジーとしても主人公=読者になり設定を説明しやすい
・知識チートで賢者にもなれる。戦い以外にも対応。女性の作者&読者にも受け入れやすい。
いかがしょうか。異世界転移・転生は作者にとって書きやすく、読者にとって分かりやすい。すばらしいメリットがたくさん! 技術と経験が無い作者でも話が書きやすくなり、多くの人が使うのも当然なのです。