今では貴重な存在! 人間の闇と病み、スプラッター&ホラー! 殺人鬼探偵!
というわけで、今回は個人小説サイト「狂気太郎.net」を紹介します。
そのまま「狂気太郎」という方が運営されていて、短編集から長編までたくさんの作品が読めます。
ただし、かなりグロくて怖い話も多いし人は死にまくり。苦手な人は閲覧注意です。
生きてる個人小説サイトは今では貴重!
私が狂気太郎.netを大好きな理由、その1つが「今でも更新されている個人運営の小説サイト」だってことです!
これがどれだけ貴重な存在か……ある程度長くネットで小説を読んできた人なら分かっていただけるでしょう。
昔はけっこう数があった印気がするんだけど……今ではほとんどは更新停止。悲しい。たぶん、そもそも小説を書かなくなったか、もしくは「小説家になろう」「カクヨム」などの大手投稿サイトに移ったのでしょう。
私は基本的に個人サイトの方が好きなんですよ。デザインなども自由にできる分、その人の個性がより強く伝わってきますから。
この狂気太郎.netも、小説以外の部分でも狂気太郎さんの個性を存分に味わえるwebサイトになっていて楽しい!
個人的なオススメは長編3シリーズ
メインコンテンツである小説は、トップの「小説」リンクから読むことができます。大量の作品があるわけだけども……私のおすすめは「殺人鬼探偵」「陰を往く人」「カイストシリーズ」のという3つの長編。
作品のグロ&ホラー傾向をざっくり段階分けすると
・カイストシリーズ(グロ描写ほぼ無し。初めての人はここから?)
・殺人鬼探偵(かなりグロい。でも楽しく明るい雰囲気で読みやすい)
・陰を往く人(グロいし、雰囲気がやや暗い。)
・その他の短中編(めちゃグロいし怖い。やばい。読む人をかなり選ぶ。)
という感じでは。
長編シリーズは、比較的グロとホラーが控えめ。(あくまで比較的)。ストーリーがある分だけ薄まってます。
短中編の方はね……グロとホラー場面しかない作品が多いんで……私は苦手だったり。この手のジャンルが大好きな人じゃないと辛いのでは。
というわけで、ここからは3つの長編シリーズについておすすめ順に紹介していきます。
1位 殺人鬼探偵
まぁ、やっぱこれが1番好きです。狂気太郎.netと言えば殺人鬼探偵シリーズ。看板作品でしょう。めちゃくちゃに面白い。全5部作、完結済み。
不死身の殺人鬼「黒贄礼太郎」が悪党も一般市民も殺しまくり。不条理スプラッター・ハードボイルドアクション。殺人と暴力で事件を消滅させて、推理はしない。
グロいけどギャグっぽいシーンも多いし、主人公の黒贄さんが楽しそうでいい。むっちゃくちゃな勢いで人が死にまくるのはグロを通り越してる。このノリは癖になりますね。
黒贄礼太郎の存在感、キャラの濃さは相当なものですよ。ここまで強烈なキャラクターは珍しい。みょうちきりんな化物がいっぱい出てくるけど、黒贄さんが1番よく分からない。
黒贄が持っているのは、長い柄の大鎌だった。二メートルほどもある柄は緩く湾曲し、直角についた鎌の刃渡りもまた五十センチを超えていた。
「あの、それは……」
依頼人が小声で尋ねると、黒贄は待ってましたとばかりに説明した。
「昔から西洋の農民が使っていた大鎌です。サイズと呼ばれる戦闘鎌の原形でもありますな。本来は穀物の収穫に使いますが、死神も持ってます。いやあ、いいですなあ。これでシャコンシャコンと首を刈り取るんですよ」
黒贄は柄を両手で握り、宙で何度も振ってみせた。ヒュルンヒュルンと不気味な風切り音がして、依頼人は反射的に自分の首を押さえた。
「いや、でも……あの……それ、必要なんですか。僕の部屋に盗聴器が仕掛けられてるかどうか、調べるだけなのに」
口ごもりながら依頼人が突っ込むが、黒贄はにこやかに頷いた。
「それはもう、間違いなく必要です。これらを使わないことには仕事が進みませんからね。さて、あなたのお部屋まで案内して下さい。ああ今日は何人殺すのかなあ……」
いや~、このユーモアとカオス。すばらしい。
あと、黒贄さんが奇声を上げ始めた時の「よ! 待ってました!」感は異常。
「これで死ねる、でも怖い、死にたくない、本当は死にたくない、いや死ぬ、痛い、いや心地良い、これが死か、かたじけない、死がやってくるうぎょばぎぎぎぎぎぎ」
「ウガンダラバビョー」
黒贄がゆっくりと、不渡の痩せた額に刀の切っ先をめり込ませていった。不渡の体が弱く痙攣する。
「ぎぎぎべべべべ……ぎっ」
深々と突き刺さったのを更に引き下ろして、顔面から喉、胸へと刃が裂いていく。
血は殆ど出なかった。カスカスに乾いた内臓が垂れ下がっただけだった。
「ウガンダラバビョー」
漸く黒贄は不渡の両腕を解放した。脳天から下腹部までを切り開かれた不渡の死体が、力なくその場に崩れる。
日本の剣客・不渡静磨は敗北した。午前三時四十七分、死亡時の得点は二十一万六千六百二十六点であった。
「ウガンダラバビョー」
スーパー黒贄さんタイム! 被り物をして、目に虚無を宿し、奇声を上げながら、ひたすらに殺しまくる。これが主人公なんだから(笑)
私の特に好きなエピソードは分かりやすく派手な「世界殺人鬼王決定戦」とカオスっぷりがすごい「殺人鬼探偵III~哲学入門~」でしょうか。みんな大好き、まさまさ。
「殺人鬼探偵V ~ちょっと世界滅ぼします~」のエピローグも好き。あれが最後の締めとは(笑) なんとも黒贄さんらしい、死体とユーモアたっぷり。
2位 カイストシリーズ
「目的のない凶器」から始まる連作中編。連載中。転生を繰り返しながら究極の強さを目指すカイストと呼ばれる者たちの物語。4000世界と億年単位の壮大なスケールで展開するバトルアクション。
グロい描写がほぼ無く、狂気太郎さんのかっこいいアクションシーンと広大な世界観だけを抜き出した作風で非常に読みやすい。毒が少ないと言うか。掲載順は「目的のない凶器」の方が先だけど、「骸骨騎士」を最初に読むと世界観が分かりやすいのでは。
このシリーズが1番分かりやすいけど、狂気太郎さんって戦闘シーン書くのも上手い。
私のお気に入りは、フィロスさんフロウさん、そして「彼」。
3位 陰を往く人
スプラッターライトノベル。現代社会をひっそりと生きる殺人鬼高校生の戦いと苦悩。そして、1人の少女との出会いと恋。全4部作完結。
これも割とグロい。そして、方向性がそこそこ暗い。化け物に生まれついてしまった主人公の苦悩、身近な人が死んでしまった悲しみなどが真面目に描写されてしまう。
ライトノベルとしてはとても出来がいいとは思うんだけども……ちょっと正統派すぎる感じなので個人的には3位です。逆に、ちゃんとハラハラドキドキする作品が読みたい人には殺人鬼探偵より合うかも。
ちなみにトップページ「その他」の中の「小説覚書」では、掲載されている小説に対する作者コメントを見ることができます。中には狂気太郎さんらしいユニークな意見も。
小説以外も面白い!
3つの長編シリーズを紹介してきましたが、「小説を読む」ということだけなら大手投稿サイトでいいわけですよ。むしろ、小説以外の部分こそが個人運営サイトの真骨頂なわけでしょう!
というわけで、狂気太郎.netの他の部分を紹介していきますよ!
表紙台紙
サイトにアクセスして最初に飛び込んでくるのが、サイト上部の文章。これは↓にスクロールした最下部とつながっています。これがブラックジョークで面白い! 毎回落ちがいい……
トップページでいきなり楽しませてくれるとか、狂気太郎.netの面白さは保証されたも同然。過去の文章の一部は「その他」の中の、「表紙台詞集」から読めます。
独り言
トップページの「独り言」をクリックすると、狂気太郎さんの日記的なものを見ることができます。いわゆるブログ。
狂気太郎さんの生活と、社会の出来事をどう見てるのか分かるわけですが……これもすごく良い。リズミカルな文章、飛躍する想像。割と頻繁に更新されていて、私はこのコーナーも小説と同じぐらい楽しみにしています(笑)
いやー、小説も狂気太郎さん自身も面白い。今までは知らなかった人はぜひ訪ねて欲しいwebサイト。