web小説「異修羅」について語ります! ~驚異の面白さ!~

全部かっこいい! 良いキャラばっかり! 暴力と謀略! ホラーの香り!

というわけで、今回はカクヨムから「異修羅」について語ります。

異修羅(珪素) - カクヨム
全員が最強。全員が無双。全員が英雄。全員がチート。一人だけが、勇者。

個人的には、web小説の中で1番のおすすめ! ぜひぜひ読んで欲しい作品。すべての要素が驚異的な完成度。

とりあえず、第4話目となる「星馳せアルス その2」まで進んでみてください。そこからが本領発揮、一気に世界観が広がりますよ。

恐怖をバラまいた「真の魔王」は討伐された……しかし、勇者は名乗り出ない。新たなる時代の象徴が必要だ。ならば、世界中から強者を集めて勝ち残ったものを「勇者だった」ことにしてしまえばいい!

15名の最強決定トーナメント群像劇。出てくるキャラクター全員がやばいぐらい強くて、めちゃめちゃかっこいい。

1人1人が主人公もしくはラスボスになれそうなぐらいの存在感がある。それを1つの作品にぶち込んでしまうなんて! ものすごく贅沢な作品。

私のお気に入りは「星馳せアルス」さん。小さな声でゆっくりしゃべるけど、とてつもない強欲さを持っている3本腕のワイバーンとか……キャラ立ちすぎでしょ。

あと、本文を読んで気に入った人はtogetterで作者の「珪素」さまの質問コーナーなどがまとめられているのでそちらもどうぞ。

「異修羅」の検索結果
まとめの中から「異修羅」の検索結果を表示しています。

超かっこいい!

何と言ってもね、文章とか言葉使いが超かっこいいんですよ。まぁ、ある意味で厨二の分類なのかもしれませんが……

まず、呪文の詠唱に個性とセンスがある。いくつか引用すると、

ライニよりクリアージアの鋼へw r a i n y i o q u l y a s h a! 波紋は頭にc e v o e m t o t a鏡を通し両指を結べr i g l e r i g l e s w e e d通り瞬く道m e e z i b h o l c o m天の網h a g t起これa r m e l f l o e h e!】

アルスよりニミの礫へk y l s e k o k h n m y花は蕾にk i l w y k o k k o殻を分けて割けk u k a i e k y a k h a l滴る水k o n a u e k o貫けk a s t g r a i m

コウトの風へc o c h w e l n e果ての光に枯れ落ちよc y u l c a s c a r z――】

どうでしょう、超かっこいいと思いません? 振り仮名になってる表現は、英語じゃなてく作者である「珪素」さまのオリジナルなんですよねぇ。すばらしい。

日本語部分だけだと、ちょっと単調? でもそこに、読者にとって発音できない異世界言語を被せることでファンタジーとしての品質アップ! かっこよさ倍増!

私の知っている呪文詠唱の中でもトップクラスのセンスですわ。

次に、それぞれの修羅の紹介となる4行文、読者が「異修羅構文」と呼ぶ部分も超かっこいい。これまた引用すると、

それは全ての防御と過程を無視して、あらゆる存在を捻じ曲げることができる。
それは天候や地形までもを一語の下に支配する、果てのない出力を擁する。
それは万物の予測の外にある、解析不能の特異点である。
現時点において限界すら計測されていない、全能の魔才である。

詞術士ウィザード森人エルフ

世界詞せかいしのキア。

 

それは地平の最強種の中にあって数百年、真の最強の名を許されている。
それは地形と気候を変えた、全生命を瞬間に屠る鏖殺のブレスを持つ。
それは史上にただ一例しか確認されていない、氷の詞術しじゅつの使い手である。
戦いすらをも許されぬ、それは一つの荒涼の光景である。

凍術士サイレンサードラゴン
ふゆのルクノカ。

う~ん、良い。ここだけ見てもグッとくるし、それぞれのキャラの物語を読んできた最後にこの紹介文を読むと迫力がやばい。

いやー、本当に表現がかっこいい小説。異世界からの転移者を“客人まろうど”と呼ぶとかね。言葉の1つ1つに作者のセンスが光り、重みと驚きがある。

客人は設定もすばらしい。元々の世界で異能を持ちすぎたものが客人として作中世界に追放されてくる……つまり、「異世界に転移したからチートをもらえる」のではなく「元々の世界でチート状態だったから異世界に追放される」。web小説テンプレの因果関係を逆転させる天才の発想。

その他、スライムだからこその究極の格闘家サイアノプ君とか、変形でスケルトンの可能性を追求するシャルクとか……

世界観を大ざっぱに言えばwebファンタジー小説のテンプレかも知れないけど、それぞれの要素が練り込まれていて新しい発想があり本当にかっこいい。

すばらしき群像劇

私が異修羅が好きな大きな理由の1つが群像劇であること。はっきりとした「主人公」はいない。

だからこそ、トーナメントの結果が読めなくて面白い! 本当に誰が勝ってもおかしくなくて、緊張感がある。

多くの作品のように明確な主人公がいると、どうしても「最後は主人公が勝つんでしょ? 知ってる知ってる」となっちゃいますから……

1人目の柳の剣のソウジロウを読んだ時には「ソウジロウを主人公とする俺tueee異世界転移? 文章力はあるけど、ストーリーとしては割とよくある感じか。」なんて思ったんですけどね(笑)

星馳せアルスを読むと、とんだ勘違いだと分かりました。「ワイバーンの英雄!? 人間だけでなく異種族もメインキャラクターとして出てくるのか! 面白い! アルスも超強そうじゃん! ソウジロウと戦ったらどうなるんだろう? こんなやつらが、あと13人だと……!?」

多くの人が通る道だと思うんですが、いかがでしょうか。

キャラが死ぬのは良いバトル作品だと思う

個人的な意見なんだけども、バトルものはキャラが死ぬ作品が好きです。より正確に言えば「敵ばっかり死んで味方が誰も死なない作品が嫌い」と言うべきかもしれませんが……

敵役・悪役ばっかり死ぬのって、ご都合主義だし不平等だと思いません? お互い本気で殺し合ってるなら、主人公組だって死人が出るのが当然じゃないのかと。

その点、異修羅はキャラが死にます。かっこいいキャラ、読者から人気があるキャラでも容赦なく死ぬ。ここも私が好きな点。私のお気に入りも死んでしまいしたが……

これも群像劇だからこそだと思うんですよね。主人公VS悪役という形にしちゃうと、どうしても主人公組を死なせにくいので。ワンピースで麦わらの一味を死なせると読者の混乱がやばいことになりそう(笑)

群像劇だと明確な主人公がいない分、誰が死んでも話は続く。誰が死んでもおかしくない。あと異修羅は正義VS悪って単純なストーリーでもない。悪役だから死ぬわけじゃなく、みんながそれぞれ自分の目的に向かって進んで戦って、その結果として死ぬ。その緊張感と平等さが好き。

暴力と謀略、両方ともがハイレベル

異修羅の中心は、やはり直接的なバトルでしょう。異修羅の読者たちがよく使う表現としては「暴力」。

しかし、この異修羅という作品の特徴であり、作者「珪素」さまの上手さにビビるポイントは、頭脳戦裏工作部分もすさまじくハイレベルで面白いってところ! こちらは「謀略」と呼ばれてる気がします。

バトルシーンのかっこよさ、暴力の迫力。頭脳戦の探り合い、謀略の深さ。この2つは方向性が違うと思うんだけども、両方ともが上手く書けるってすごい。

第一部の序盤は暴力パートのみと言える。でも、ロスクレイは「お……?」って感じ。そしてヒロトを読むと「直接戦わないタイプの修羅も出てくるのか!?」ってなる。

極めつけに「序章」で明かされる第1回戦の組み合わせを見ると「奈落の巣網のゼルジルガって誰……? キアが出てない!?!? ど、どうなるんだ……? ただのバトル小説じゃねぇ……!」と思うわけですよ。

第二部の驚異的な面白さ 試合開始=裏工作開始!

異修羅の何がすごいって、実際に大会の始まる第二部になってさらに面白くなるところ。

キャラ紹介パートである第一部の時点で、めっちゃくちゃレベルが高い。キャラクターがみんな魅力的。そんなキャラたちの激闘を書かなきゃいけないし、勝ち負けが判定を出さなきゃいけない。とんでもなくハードルが高いわけで。

つまらない戦いになってしまったら「こんな結果になるなら第一部だけで終わってた方が良かったな……期待外れ」なんて読者に思われてしまうかも。しかし、実際に始まった試合もすさまじく面白い! 

暴力パートもいいし、謀略パートもいい。試合開始=会場で候補者同士のバトル開始、じゃないのがすごい!

「第一試合 その1」もスライムであるサイアノプ君を乾燥させるために試合会場に石灰をまく、という驚愕の外道展開から始まるわけです。

その後の試合を見ても、その1の多くは謀略パート。試合開始=擁立者が自分の組織を使って裏工作を始めた瞬間、この構図がとても好き。

候補者および主役となる修羅だけじゃなく、擁立者である二十九官も有能なのも異修羅の良いところ。それぞれの才覚と組織力で裏工作しまくり! ただのオマケではなく、彼らもしっかり戦ってるんですよねぇ。

ホラーの香り

第一章の最後の物語「全ての敵、シキ」、この話を読んだ時にほとんどの読者は強いショックを受けたはずです。

今まで15人の修羅と多くの英雄が登場していて「こんな強い世界を滅ぼしかけた本物の魔王とはどれだけ強かったんだ……?」なんて疑問と想像を膨らませていた読者を襲う驚愕のキャラ設定!

私ごときの筆力では紹介しきれませんが、シキさんには明確なホラーの香りがありますよね。ファンタジーの魔王というよりホラーの化け物に近い存在。7人の強者が迎える凄惨な結末……怖い!

実際、作者の珪素さまは「空葬テラー」というホラー作品も書いています。ファンタジーだけなくホラーのセンスもお持ちである。これも異修羅の面白さにつながっているのかな~、と私は思ってます。

キャラクターの心理描写が上手いし、こっそり伏線を張っておいてからドドン! と出して読者を驚かせる。ここら辺はホラー作品と近い部分ではないでしょうか。

他にもシキさんの死因が分かった後で、第一部の「不言のウハク」を読み返すとね……やばいですよ。ファンタジーだと思ってたのが、急にホラー短編になってる。

人間は理解できないものに遭遇した時に、それをどう「説明してしまう」のか? クノーディーがウハクの感情について語ってるシーンとか鳥肌もの。人間は自分の都合のいいように物事を見てしまう、理解できないものを理解できてると思い込んでしまう。あなたが見ているのは本当に真実なのか……?

 

いやー、すごい小説であり珪素さまはすごい作者です。言葉のセンス! すばらしき群像劇! 暴力と謀略のハイレベルな融合! 物語に深みを出しているホラーの香り!

ぜひぜひ読んで欲しい作品ですね。

 

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